【特別編】「褒める」は必要か?自己肯定感を高める工夫

私たちは、多くの企業で「企業理念やクレド」の開発をサポートをしています。コロナ禍の今春、あるエネルギー関連企業A社で「クレド」を完成させ、現在オンライン教育を取り入れながら全従業員への浸透活動を進めています。

その開発にあたって経営陣やプロジェクトメンバーとかなり突っ込んだ議論をしたのは、「このクレドの価値観には、実践することで”自己肯定感”を従業員が想起できるものにしたい」というものです。

自己肯定感。最近は良く耳にするキーワードです。自分の存在を積極的かつ前向きに評価する感情の意です。そのためには、いわゆる認知される、尊重される、褒められること、つまり他者からの視点や承認活動が重要であることが一般的に言われます。

だからでしょうか、多くの企業では「褒める運動」「いいね!ボタン」などをWEB上で展開して、その獲得ポイント多寡により福利厚生メリットを授受できるというような運動がここ数年の流行りとして話題になっています。

ただA社では、それとは方向を異にします。重要視したのがよくある「他人から受ける称賛」を推進するだけではなく、「自分で自分の達成感」を確認するようにしたことです。

もちろん、他者からの承認は重要ですし、それが入り口となることに異論はありません。しかし他人から提供される称賛では、モチベーションが長期に継続せず、馴れ合い・マンネリな状態を作ってしまいがちです。

結局は自らが決めたことや考えたことが達成できた結果として得られるモチベーションの方が「自己肯定感」を強くできるのも実感として私たちは持っています。

ましてや日本社会や企業では、そもそも他者に感謝を積極提供することに違和感が少なく無く、さらには感謝された事象を殊更に喧伝することへも苦手意識があります。

また仮に感謝の機会があったとしても「結果(業績)への感謝」がメインであり「過程(プロセス)への感謝」が少ないことも課題だと言われます。

ここ何年も企業が取り組むエンゲージメントや業務に向き合うモチベーション、働きがい醸成は結果として「自己肯定感」から生まれてきます。

そのためにも従業員自らが、自身の業務に「目標(結果としてはMBO:目標管理になります)」をたて、達成に向けて日々の仕事に向き合い、リーダーはその目標について真剣に部下と議論する文化をつくる、というあまりに当たり前であるが、等閑(なおざり)にしがちなプロセスに光を当てる必要があるのです。

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