SUITE FURNITUREはこうして生まれた。~ものが生まれる瞬間~
SUITE FURNITUREシリーズの誕生が、12月6日に発表されました。
このシリーズは社内発のプロジェクト『EETAL』から生まれた製品です。
スイートファニチャーはいかにして生まれたのか、今回プロジェクトメンバーに、“ものが生まれる瞬間”について、話しを聞きました。
開発秘話「それぞれの苦労編」はこちら↓↓
「清水久和さん(S&O DESIGN)との出会い編」はこちら↓↓
話しを伺ったのは、以下のプロジェクトメンバー
左から設計技術の平高さん、溶接の藤沢さん、設計技術の井上さん、社長室の手島さん、芥川さん。
――:
お疲れ様です。よろしくお願いします。
一同:
よろしくお願いします。
――:
東京での展覧会初日(12月5日)、何百人もの人がきたようです。
一同:
おお。
――:
これから楽しみですね。
じゃあ、まずは簡単に今やっている仕事を各自教えてください。
平高:
えーっとですね、「構造設計」ですね。お客様から頂いた仕様、図面を確認しながら、うちで加工・製作できるような形に作り上げていくっていうことですかね。後そこに使用する購入品だったりを、洗いだして手配するという仕事です。
――:
基本的にはお客さんの方で、図面が用意されていることが多いですか?
平高:
いや、外形に関する情報だけ、もらうことが多いですね。その形を、どういう風に作っていくか、というところの構造はうちで考えます。
――:
なるほど。
井上:
平高さんのところは、外形図でつくっていくんですけど、わたしのところは図面が絶対あるんですよ。単品図が。それでCADを使ってトレースする作業に近いんですね。
トレース作業をしたあとに、CAMというプログラムで、どの機械で、どのように加工していくか、っていうのを決めていきます。そしてその後、現場にアウトプットして、そこから実際に加工が始まります。
――:
つまり順番的には、平高さんのところから、井上さんのところに流れていくんですか?
井上:
そうですね。平高さんのところで、図面をつくってなおかつ3Dでもらい、それをこちらで平面の2Dに変換して、加工方法を決めるっていう感じです。
――:
3Dにする人、2Dにする人。
井上:
はい。
――:
藤沢さんは溶接ですね。
藤沢:
はい。機械加工されたものを、溶接して、塗装前の仕上げまでをやります。溶接って、人の個性(技量)が出るんで、誰よりもきれいに溶接できるよう心がけています。
芥川:
私は、どちらかというと会社の経営に近いところの仕事をしています。こういったプロジェクトを推進するために、社内調整から全体的な管理業務までやっています。
手島:
私も芥川さんと同じ部署なので、だいたい同じようなことをやっています。だけどプロジェクトに関しては、広報的なことをやっていました。みなさんの真剣な姿を見逃さないように、常にカメラを持っていました。
――:
ふだん見逃している、みなさんのいい表情をたくさん撮ってましたね。
手島:
はい。
――:
みなさん普段の仕事では、お客さんから何を一番求められますか?
井上:
求められる…。
平高:
愛嬌とか?
井上:
わたし、愛嬌は百点満点なんで。
一同:(笑)
――:
このくだりは絶対、記事にします。
井上:
ほんとやめて!(笑)
求められるっていうか、感謝されたのはお客さんが考えていなかったことを提案したときとか。
お客さんから頂いた図面に対して、ただそれをそのまま、形にするんじゃなくて、こうしたらどうですか?とか、こういう溶接の方がいいんじゃないですか?とか、
図面には書いてないけど、提案することで、作業時間が短くなったり、よりいい製品になったりすることもあるので。
この前お客さんに言われたのが、「いろいろととわからない状態で依頼しても、ベネックスさんは必ずいいものを作ってくれる」って。そこは強みだと思います。
――:
(どうやら愛嬌だけではなさそう、安心。)
井上さんは、いつも期待を超えたいって意識してるんだ。
井上:
というか、提案したことが通るっていうのが、ただ嬉しいから。
――:
あぁ、なるほど。
藤沢さんは?
藤沢:
え…。金属なら、何でもつけます(溶接します)…。
一同:(笑)
藤沢:
まぁいかに早く、きれいにつくるかじゃないですかね。
前、ある会社に行ったときに、「ベネックスの溶接はうちじゃ、しきらん(できない)」って言われて、嬉しかったですね。だからそれだけ溶接は、人の技量が出るってことです。
――:
手島さんって入社して…
手島:
2年目ですね。
――:
今回のように、ものづくりの工程を最初から見たことは?
手島:
なかったです。本当に薄板(薄い金属の板)から少しずつ、かたちになっていくすべての工程を見たのはこれが初めてです。
――:
どうでした?
手島:
なんて言うんだろう…。すべての工程、だいたい難しそうだなって思うんですよ。特にテーブルの支柱とか、スツールの座面の垂れている所とか。みなさん当たり前のように、つくるじゃないですか。それがすごいなって。
――:
すべて機械でつくるわけじゃないもんね。
手島:
はい。手で、ここまでできるんだなって、今回改めて驚きました。
――:
いつもはお客さんがいて初めて仕事ができるわけですが(受託製造)、今回のプロジェクトは、自分たちで何をどうやって作っていくか、から考えましたよね。普段の仕事とちがうところはありましたか?
平高:
何を決めるにしても、自分たちで判断して決めなければならないですよね。いつもはすべて、お客さんと話し合って決めるんで。だから自分たちで決めて、やりたいようにできる、というところは、いつもとは違うやりがいがありました。
井上:
私は、いつもと同じです。
――:
確かにどうやって加工したらつくりやすいかを考えて、それを積極的に現場に提案してましたもんね。
井上:
あと今回のメンバーで、誰ひとり「これ無理なんじゃない?」って言う人がいなかったですよね。みんな「やろうよ」って言う人たちで、それはすごく助かりましたね。
わたしたち設計側って、現場からけっこう「これ無理だよ」とか言われるんですよ。
――:
あぁ。
藤沢:
いつもは産業用の製品をつくっていますけど、今回は家の中で使うもので、その点の違いは大きいですよね。
とくに人が座るもの、使うもの、だから「バリ取り」だったり、仕上げの部分は、いつも以上に気をつかいましたね。
――:
そうですよね。
芥川さんは、プロジェクト全体を見る立場として、今回どうでしたか?
芥川:
ベネックスの場合、最終製品をつくったとしても、消費者に近いところにいそうで、いないっていうか。
そう意味では、今回自分たちが生み出した製品が、これから世に出ていくんだ、っていうことに対しての情熱、覚悟はすごく感じました。
――:
なるほど。
芥川:
あと、自分たちが持ち合わせている技術力を、今回惜しみなく発揮してくれたと思います。実は隠し玉がいっぱいあった!ってわかりました(笑)。
いつもは受託製造で、お客さんから依頼を頂くなかで、場合によってはそんなに技術力を使わなくても、つくれるものもあるんですよ。要はそんなに難しくない製品というか。
――:
あぁ、はい。
芥川:
今回はお客さんからの制約がない中で、自由につくれたことによって、技術力を発揮しやすかったんだと思います。
手島:
芥川さんの話し聞いてて思い出したんですけど、みなさんの、何がなんでも作ってみせるという、意地と覚悟はすごく感じました。途中、何度か危機的状況になったこと、あったじゃないですか。
――:
うん。ありました。
手島:
でもみんなでアイディアを出し合って、何度もトライして、本当にできたじゃないですか。何て言えばいいんだろ…、
“やればできる”ってこういうことなんだなって思いました。
――:
たしかに。
今回苦労した点はありましたか?
井上:
わたしはいつもの作業と変わらないからなぁ…。サイドテーブルの穴は、ちょっと大変でした。
――:
どの辺が?
井上:
支柱の楕円形って手作業で曲げるじゃないですか。見た目は、ほぼ同じなんですがミリ単位でみると、違う場合があるんですよ。
なので、すべての楕円にしっかり収まる穴じゃなきゃダメなんです。その穴のデータを作るのがちょっと難しかったかな。
――:
ちょっとだけ?
井上:
ちょっとだけ。(笑)
――:
藤沢さんは、塗装の松本さんにいろいろと厳しく言われてましたが、あれは何を?
塗装の松本さん
藤沢:
そうっすね、あれは溶接した後に板の表面出る、「焼けあと」の仕上げについてでした。
――:
俺が塗りやすいように仕上げろ、と?(笑)。
藤沢:
そう、そう(笑)。
溶接自体はそんなに、苦労はしなかったかもですね。
芥川:
溶接、難しくなかったとはいえ、かなり気はつかったでしょ?
藤沢:
そうっすね。一番目に付きますからね。
作業、繊細にはなりますね。
――:
そういえば、みなさん、清水さんの印象は?
芥川:
正直、先入観ですがデザイナーさんって、ものづくりについて、そんなに詳しくないのでは?と思ってましたが、清水さんは“プロダクトデザイナー”なのですごい、ものづくりの理解がありましたね。技術的なところも一緒になって考えてくれて。
手島:
もちろん、こだわりがあるし、細かいところも見ているんですが、信頼してくれて、任せてくれるところは任せてくれたので、すごく理解してくれる方だなと思いました。
芥川:
たしかに。こだわりはありつつも、結構自分たちのことをリスペクトしてくれていましたね。もちろん我々もリスペクトしていますし。
――:
はい。
井上:
「愛のバッドデザイン」の講習会で、初めて清水さんにお会いしたんですけど、「うわ、半ズボンだ!」っていう印象が強い(笑)。
一同:(笑)
芥川:
デザイナーさんだから、別に気にならなかったけど(笑)。
井上:
まじめに言うと、さっき話しにも出ましたけど、すごく細かく見ている方だなと。
スツールの座面の「R」が若干違うとか、本当にちゃんと見ないとわからない部分でも、気づくので。だから、いつも緊張感はありました。
藤沢:
いろんなものづくりの経験をされているので、やっぱり色々と詳しいですよね。こちらも勉強になることもたくさんありましたし。
――:
平高さん、ふだん自分が設計したものが、目の前で形になっていく過程を見て、最後カタチになるってやっぱり、思い入れみたいなの出てくるんですか?
平高:
やっぱりありますよ。苦労したら、苦労した分それは強くなります。でもいつもは、嬉しいっていうより安心の方が強いです。ここの部分、うまく加工できててよかった…。みたいな。
――:
今回はそういった意味ではどうでしたか?
平高:
今回は、たしかにいろいろな苦労を見てきた、っていうのもあるんですが、やっぱり感動しました。安心というより感動が大きかったです。
――:
そうですね。
井上さんは普段の仕事と違った、達成感みたいなのはあります?
井上:
えー…。うーん。
これ、いくら(どれくらい)売れるんだろう?って思いました。
――:
あぁ(笑)。
一同:(笑)
井上:
いや、そこですよ(笑)。そりゃ、「できた!よかった!」とは思いましたけど、最終的にはいくら売れるんだろうって。
2割は喜びで、8割は売れるか気になる。
――:
へぇ(笑)。
井上:
大げさなこといったら、こういうプロジェクトで何千万円売れたんだよ、とか言いたいじゃないですか。周りも「すごいやん!」ってなるし「すごいことやってるな」って、言われるなって。
――:
まぁそうですね。目指すべきだしね。
藤沢:
いやでも、井上さんと同じ感覚ですね。できたときの喜びはありつつも、どれくらいの人に、受け入れられるのかな、って実際に。
――:
そうなんですね。
藤沢:
なんて言うか、売れたことではじめて、認められるっていうか。
平高:
芥川さんは、何点買う予定ですか?(笑)
芥川:
そうですね…。
わたしは3セット買います。
一同:
おお!(笑)
芥川:
まぁそれはさておき(笑)。今回のアイテムは単純に“ほしいな”と思いました。それは自社でつくっているからということは別として。
――:
それは、そう思います。
芥川:
まぁ後は、すぐに結果が出るかは、わからないんですが、とりあえず大きな一歩を踏み出したということで、引き続き頑張っていきましょう。
――:
お忙しいところ、みなさんありがとうございました。
一同:
ありがとうございました。
EETALプロジェクト最初の商品『SUITE FURNITURE』シリーズは、現在21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて開催されている『REMOTE WORKS @ 21_21』01:清水久和(S&O DESIGN)で販売中です。
その他、EETAL公式ECサイトでもお買い求めいただけます。是非一度ご覧になってください。
EETALプロジェクト、最初の共創パートナー清水久和さん(プロダクトデザイナー)との出会いはこちら↓↓↓
EETAL公式ECサイト
https://eetal.theshop.jp
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