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3月のスランプ 読んだ本

最近なんだか色々とダメで、体力と脳みそを持て余している。理由は単純で、仕事が少し落ち着き、資格試験がひと段落したから。

暇になったんだ、つまるところ。

悶々と考えて袋小路に陥るのは、たいがい暇な時と相場が決まっている。かといって仕事に打ち込める訳でもなく、飲み会の参加を増やしてみたりしたけれど、何か虚しさが拭えない。

本を読んで気を紛らわせては、目標ってどうやって作っていたのだろうと、不毛なことばかり考える。

これ以上書くこともないので、最近読んだ本をちょびっとご紹介します。


◆ 砂の女 / 安部公房

有名な小説。正直長い。情景描写も砂まみれでイメージしにくく、読み進めるのに苦労した。主人公が炎天下をのたうち回る様はとてもリアル。虫捕りをしていたはずの主人公は、いつの間にか蟻地獄のような場所に閉じ込められてしまい、あの手この手で脱出を試みるという内容。

あらすじはヘンテコながら、その実とても現代的な問題提起をしている作品だと思う。不満と文句を抱えながら、現状に甘んじる自分が無意識に感じているイヤな小賢しさを突きつけられた。

◆傲慢と善良 / 辻村深月

女たらしの同期が「ジャケ買いした。読んでないけど絶対おもろい。読んでないけど。」と勧めてきたので購入。おもしろかった。

婚活がテーマだけど、ヒトやモノ、社会に対する根本的な態度を問う内容。共感すればするほど、何様のつもりで世の中と関わっているんだと自己嫌悪が止まらなくなる。精神的に疲れている時はあまり読まない方がいいかも。それくらい迫ってくる。

◆はたらかないで、たらふく食べたい 「生の負債」からの解放宣言 / 栗原康

タイトル買い。「生の負債」という言葉がとても良い。限りなくニートで、たまに大学で講義をしている著者の日常をおもしろおかしく綴った、エッセイスタイルの本。当然こちらもふやけながら読むことになるのだが、たまにドキッとくる一文が放り込まれてくるので、そういうところもニクい1冊。

自らの話と社会の在り様を行ったり来たりしながら、ゆるゆると核心に向かうテイストがとても好みだった。こういう文章が書けるようになりたい。真面目に不真面目。ぴいぴいぴい。

けっきょく、なにをいっても正解ではないのだ。こりゃもう、なにをいったっていい。

本書より抜粋

◆一冊でわかるフランス史 / 福井憲彦

今年は世界史の復習をすると決めていて、本腰を入れる前にウォーミングアップのような形で軽い本を消化しておこうと思い、購入。なぜフランスかと言われると、なんとなく。ワインが好きなので…。

全体をおさらいするのにかなり良い本。縦の歴史は民族のゴタゴタ(カロリング朝 前後)、国際結婚のゴタゴタ(ヴァロア朝 前後)、宗教のゴタゴタ(ブルボン朝 前後)、帝国主義のゴタゴタと分類すれば理解しやすいなと感じた。フランス革命は経緯やその後の流れまでちゃんと理解したい。

◆ぶらり大阪「高低差」地形さんぽ / 新之介

宮台真司氏は「日常の非日常性」に重きを置く。肌感覚で感じることは今の私にはできないけれど、完全に同意。そしてそれは人間関係だけではないよね、ということで、散歩の視座拡大のため購入。

スマホばかり見ながら通り過ぎているあの場所もこの景色も、総べて長い年月と共に歩んだ壮大な軌跡の上に在る。タモリさんはデカい石を見て興奮するというが、いつかその境地に辿り着きたい。


◆プラハの憂鬱  / 佐藤優

元外務省 作家の佐藤優氏によるノンフィクション小説。著者のイギリス語学研修時代の物語を描く。最強の古本屋店員と巡り合い、交流する中で爆発的な知の結びつきが生じ、関心領域と人間関係が広がっていく様が、羨ましく素晴らしい。

毎度のことだけどメシの描写が本当に上手。腹が鳴る。

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