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形を問わず、フィクションをあつめています。
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2021年2月の記事一覧

たまねぎ(小説)

たまねぎ(小説)

智也の気配を後ろに感じながら、たまねぎを切っていた。私がつくるカレーにはいつも大量にたまねぎを入れる。

「大量のたまねぎがとろとろに溶けてるカレーがいい」

彼のリクエストに答える形で不本意だが、何を隠そう私もそういうカレーが好みだった。私たちの性格は正反対だけど、味覚だけはよく似ている。

私は在宅のイラストレーターの仕事をしている。これだけじゃ食べていけないから、同棲中の智也と家賃を分け合

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