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海外(主に英語圏)の飲食店で働く日本人が取るべき戦略について考えてみた

Twitter見てて時々流れてくる話なんですが、どうもワーホリや留学でやっと仕事をゲットしても、シフトを削られてしまう人が多いみたいです。ここでいう「仕事」というのは、主にサーバーとかキッチン、カフェ関係の、飲食業あたりのことなんですが。
フルタイムでバリバリ働きたいのに、あんまり入れてもらえなくて、生活費がカツカツとか、仕方ないから他にもう一つ二つ仕事をかけもちするとか。

なんでそうなっちゃうのかなーとつらつら考えてみたんですが、これはもちろん、いろんな外的要因があるとは思うのです。
けど、もしかしたら、日本人にありがちな特徴ゆえだったりしないかな… と思ったりもしたので、ちょっとそのへんについて書いてみようと思います。


外因として考えられること

そもそもシフトが削られがちなのが、完全に個人の問題なのかというと、まったくそんなことはないと思うんですね。
私はカナダのことしか分からないですが、たとえば今、おそらくカナダ全土で、飲食業はかなり苦しい状況にあります。
インフレによる材料費の高騰はもちろんですが、年々上がる人件費(レストランとかカフェって、最低時給が多いと思いますが、ほぼ毎年のように上がってて、これが雇用主側にはかなりキツイ)、同様に上がり続ける不動産価格=家賃に加えて、いまいちパッとしない景気による人々の外食控え。フードアプリの割高なマージン…
ざっと挙げただけでもこれだけの要因があって、「儲かって儲かってしょうがないぜー!スタッフをどんどん雇わないと回らないぜぇー!」ってな景気のいい飲食店は、おそらくかなり稀… と思われるのであります。
そんなわけで、雇用側も、できるだけ最小限のスタッフで回したい、人件費を極限まで削りたい… という思惑があるんだろうなと。
なので、シフトに入れてもらえない原因は、日本人だからとか、カナダ人じゃないからとか、そもそもがそういう問題ではない、という前提があります。

それからもちろん、時間に制約のある学生よりは、フレキシブルに働けるワーホリの方が有利だったりとか、そういう要因もありますよね。これは海外に限らず、日本でも同じことが言えると思います。

日本人ゆえのディスアドバンテージがあったりして…

しかしですね。
そうはいっても、おそらく同じ職場内、そして同じような条件のスタッフ同士でも、わりといつもシフトに入れてもらえる人と、そうじゃない人というのがあるかもしれません。
それがまた、人種によって分かれていたりすると、「差別だ!」と思ってしまうこともあるでしょう。そこまでいかずとも、エコヒイキのようなものを感じたりとか。
中にもそういうケースもあるかもしれません。が、この苦しい状況の中で、そんな理由だけで飲食店の経営者がシフトを決めるのか。
もうちょっと何か、合理的な理由があるんじゃないか。

たとえば他の国からの出身者と比べて、日本人の留学生やワーホリの人、経験値が足りないということはないだろうか。
ここでいう経験値とは、主に飲食店での経験です。サーバーでもキッチンでも、いっさい経験がないと、やっぱり仕事探し自体が不利ですし、実際に働けたところで、他のスタッフに比べて仕事ぶりが微妙だったりすると、やっぱりシフトは減らされてしまうよなと。
たとえば「現地のカフェで働きた~い」とか思ってる人は、絶対に日本で経験してくるべし。特にスタバは知名度からして強い。

あと、根性もな… これはカナダ人とか全然根性ない(場合が多い)ので、アレですが、たとえばインドとか東南アジアのあたりとかから来てる人たちは、もう本気度が違うんですよ。皿洗いとか清掃とか、朝早い仕事とか、淡々とこなしていくので、「えー、そこまでして…」とか思っちゃうと、なかなか勝てないよな… と思ったり。

特に日本人にとって高いハードル

あと、ジャパレスなんかは、日本人であることが絶大なアドバンテージになることが多いので、あんまりないかもしれないんですが、カナダ系(?)白人系(?)のレストランだと、マジで日本人はキツイ戦いを強いられるんじゃないかなと想像します。

まずなんといっても、英語の壁。
飲食店って、お客との会話と同じくらい、スタッフ同士のコミュニケーションが重要なんですよね… 特に混んでるとき、他のサーバーとの連携は超重要になってきますし、戦場のようなキッチンにリクエストを通したりもしないとならない。そのたびに「あうあう」ってなってたり、「誰か電話代わってぇ…」とかやってたら、そりゃ「こいつ使えねえ」って思われて、シフトも減らされますよね… 最悪の場合「もう来なくていいよ」とかもあり得るかも…
カフェなんかでも同じですかね。朝とかの混雑時にワンオペとか、めんどくせー客のクレーム対応したり、やっぱり英語がそれなりにできないとキツイ。裏方だって、殺気立ってるキャッシャーの指示を聞き取ってサッと動けないと混雑時、店が回らない。

それからレストランの場合、もちろんお客との会話が超大事。
こっちのレストランって基本的に、サーバーはただ料理や飲み物を運ぶだけじゃなくて、エンターテイナーとして、自分の担当テーブルの人たちをいかに楽しませるか、洒脱な会話で気分を盛り上げて、気分良く帰ってもらうか、っていうのがあるんですよね… もちろんそれがチップに反映されるわけで。イケてるサーバーやバーテンダーには、ファンというか、常連客がついたりするので、当然、雇用主側からの覚えもめでたい。

が、日本人で、これができる人ってかなり希少なんじゃないかなあと思います。
もちろん英語の問題もあるけど、こういう文化にまずなじみがない。どのくらいの頻度でお客さんに話しかけに行くべきなのか、お客さんによっても、盛り上がる話題や適切な言葉遣いも違うから、そのへんの見極めをちゃんとしないとならない。私もサーバーしてたことがあるので、このへんの難しさは分かる。あんまり話しかけすぎても、お客さん同士の会話の邪魔になるし、かといって全然行かないと「サービスが悪い」と評価されてしまうし…
現地の外食カルチャーというか、そういう面でのディスアドバンテージが結構あるんじゃないかなあと。そもそも、知らない人(ってこの場合はお客さんですが)に、明るくどんどん話せる日本人っていうのが、あんまりいないイメージなんですよね…

ちなみに飲食店に限らず、こっちで重宝される人材って、基本的にとにかく陽キャ、そして要領がいい、ってキャラじゃないかなあと思います。
皆さんの周りにもいるんじゃないでしょうか。英語は正直、そんなに完璧じゃないけど、愛嬌炸裂で屈託なく知らない人にもバンバン話しかけて、みんなでワイワイするのが大好きで、常にパーリー状態みたいな奴。
しかしその反面、口ばっかりうまくて、仕事はテキトー、グループ作業も他の人に任せっぱなし… でもなんか憎めない… みたいな。(恐ろしいことに、中には仕事自体も完璧な奴がいます… ←実体験)
カナダだと、多分、そういう人がすごく脚光を浴びるし、愛されます。たとえ、実務がダメでも。
もちろんあまりにも仕事っぷりが酷かったらアレですが、そういう奴って、お客から何かリクエストされたら、自分の判断でどんどんフレキシブルに進めていくので、当然お客ウケは良いし、結果、雇用主からも評価が高かったりするんですよねー…
生真面目な日本人だと、「店長に聞かないと」とか、「他のお客さんと公平にしないと」とか思って、即答できなかったり、「できません」とか言ってしまったり。
なんかこのへんの評価軸の違いが、結局、日本人には不利に働いてしまうのではないかと思ったり…

つまり、英語圏での接客業って、実は結構、日本人にとってハードルが高い点が多いでは… という気がしてきました… 

どう戦うか?

なんかこう考えていると、じゃあ日本人がカナダとかの飲食業で高評価もらえるのはほぼ不可能じゃないか?という気がしてきてしまうんですが、何か対策はないものか。どうしたら雇用主や、周囲から評価してもらって、職場で重宝される存在になれるのか?

一つには、日本人らしい真面目さや几帳面さをアピールするって戦略があるかと思います。これはマジで、カナダ(多分他の国でも)で働いたことのある人なら分かってくれると思うんですが、「時間通りに職場に到着する」「言われた通りのことを、時間内にきちんと終わらせることができる」人材って、ものすごーーーーく貴重だったりします。
まあ、そこまで重視されてないケースも多々あるんですが、それでも「あいつは毎回、ちゃんと時間通りに来る」「無断で休んだり、ドタキャンしない」っていう安定した印象は侮れないと思います。

ついでに「安定」といえば、感情が安定してるって言うのも、こちらでは結構ポイント高いと思います。
特にこっちの若い人って、すぐ感情的になったり、ドラマクイーンだったりする傾向があるんで… ダメ出しされても素直に聞くとか、私生活のゴチャゴチャを仕事に持ち込まないとかも大事…

あと、日本人って、きれい好きだったり、わりときちっとしてる人が多いので、これもまた貴重な存在としてすごく評価されます。カナダ人はもちろん()、他の国から来てる人たちを見てると、整理整頓とか、ものすごく苦手な人が多い印象。もちろん例外はありますよ!
けど、地味なことだけど、カウンター周りをいつもきれいに片づけたり、店内をきれいに掃除したり、そういうところをちゃんとやって正しくアピールできていれば、そうそうひどい扱いはされないし、例えば英語が分からなくて多少アワアワしても、周りが助けてくれたりするんじゃないかなーと。

つまり、真面目さ、実直さでポイントを稼ぐ戦略ですね。日本人的にはごく当たり前のことを、普通にやってるだけでも、「すごいね!」「素晴らしい!」と言われることは多々あります。
まあ、これも匙加減が必要で、いいように使われたり、雑な扱いをされないように細心の注意を払っていく必要はありますが。
これはもちろんお客さんに対しても同じで、他の同僚みたく、気の利いたジョークで笑わせたりできなくても、きちんと目を見て話すとか、自信がなくても笑顔を忘れず対応すると、「ああ、一生懸命やってくれてるな」と思ってくれる人がほとんどなはず。

ただ、気を付けないとならないのは、日本人にありがちな謙遜をあまりしない方がいいだろうなということ。
「私は英語が下手だから」とか「自分じゃみんなみたいにできないから」とか、そういう姿勢って、日本では美徳とされますが、多分ほとんどの英語圏では、すごくネガティブで、後ろ向きな印象を与えます。
かといって無理に「俺はすごいんだぜ!」「あたしはいつも頑張ってんのよ!」みたいにゴリゴリアピールする必要もなくて、とにかく、コツコツ一生懸命働く。どんなにむかつくことがあっても周りとの協調を崩さない。「ここで働けてうれしい」というポジティブな姿勢を忘れない。

(ああ、このへんの処世術については思うところがいろいろあるので、また別途書こうかな…)

いろいろと好き勝手書いてきましたが、このへんのことに注意していくと、もしかしたら、職場でも扱いが変わるかもしれません。
とにかく言語やコミュニケーションの面でディスアドバンテージがある人が多いんじゃないかと思うので、それをカバーできるだけの何か、アピールポイントを自分で考える。言葉がダメならとにかく手を動かす。常にポジティブさを忘れず、他のスタッフや雇用主との関係性をとにかく穏便に、良好に保つことを心掛ける。
そして、周りから「あいつ、英語はイマイチだけど、一生懸命働くし、いつもいい感じだよね」とか「あの子がいると雰囲気がいいよね」とか思ってもらえたら大成功!だと思います。
Good Luck!!


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