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【映画館マナー】ポップコーンって迷惑?
私は、隣でポップコーンを食べられるのが苦手でして。
一人で映画館に行くことが多いから、というのもあると思うんですけど。
いやね、気を配りつつ食べてくれる人なら良いんです。
そもそも劇場が販売してるフードですから。
飲食が売れないと劇場経営が厳しいというのも知ってます。
でも、時々いるじゃないですか…
派手にガサガサかき回す人。
静かな場面でも構わずボリボリ音を立てる人。
そういうのは、嫌ですねえ。
▼ポップコーンは時代遅れ:
20世紀の初めに大衆向けの映画館が普及し始めて、やがて1929年に始まった世界恐慌が転機になりました。砂糖の値段がどんどん上がる一方で、比較的安定していた塩とコーンを使用したポップコーンが映画館の定番商品になりました。
1905年頃、ニッケルコイン1枚で入場できると、アメリカで流行した。これが、最初の常設映画館であると言われている。スクリーンの大きさは縦3.5メートル、横4.5メートルほどの大きさしかなく、設備も伴奏用のピアノがあるくらいだった。
アメリカ合衆国では、ポップコーンは19世紀後半から菓子として食べられるようになっていたが、当時はコーンシロップから作った糖蜜を絡めた甘味仕立てであった。塩味が主流となったのは、世界恐慌時代である。他のあらゆる物価がインフレーションで上がっていく中、ポップコーンは比較的値段が上がらなかったため、5~10セントという安値で買える塩味のポップコーンは映画を見ながら食べる映画館の定番となった(館内へのポップコーン持込みを認めるかどうかは、映画館の売り上げを大きく左右したといわれる)。このことは恐慌中のアメリカの農家をいくばくか救ったとされている。
ポップコーンが他の食品より好まれたのは、食べるときに音がしないからではありません。手が汚れないからでもありません。単純に、安価だったからです。そんな価格的優位性が現在でも続いているのかは疑問です。
加えて、映画館の技術進歩にも着目したいです。
最近30年間の映画館の音響技術の進歩には目覚ましいものがあります。自宅用のオーディオ機材の性能が向上するにつれて、映画館でも音響システムに求められる性能や期待値がどんどん上がってきました。
「針が落ちる小さな音から、ジェット機のエンジン音まで」という有名すぎるフレーズのIMAXもありますが、最近ではより音響を強化したDolbyCinemaという選択肢もあります。他にも劇場によっては独自規格で定義したフォーマットも加わり、特殊上映の形態は多種多様となっています。
そんな映画館の高性能オーディオに合わせて、映画の録音や音作りもどんどん精巧に進化してきました。
これは、つまり客席が静かな環境である必要性が高まっていることを意味します。
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ポップコーンが普及し始めた頃の映画の録音はひどいものでした。ノイズが常に入っていて、それでも聴こえるように役者のセリフは特に大きくミキシングされたりしました。だから客席で菓子袋を触ろうが、どこかの子供が泣きじゃくろうが、さして気にならない、言ってしまえば「雑な映画」ばかりでした。
しかし、現代の映画は違います。ノイズが無くなって沈黙は文字通りの沈黙になりました。役者は囁き声や呼吸だけで演技できるようになりました。
一方で、劇場は壁や天井を音が良く反響するように作ってあるので、客席の小さな声や物音でさえよく響きます。
109シネマズプレミアム新宿は坂本龍一氏が全面監修した音にこだわるシアター。繊細な音まで聴こえるよ!
— まいるず James Miles ⚒️ (@james_miles_jp) April 27, 2024
しかし皮肉なことに、チケット代を高くして無料サービスにしたソフトドリンクとポップコーンをほぼ全員が利用するので、映画が始まる瞬間の静寂は《他人の咀嚼音に聴き入る儀式》となっている。 pic.twitter.com/p9g2eF6wWs
つまり、あなたが手で勢いよくポップコーンをかき混ぜれば、ゴーシャゴーシャという音が容赦なく劇場に響き渡ります。静かな場面では観客も耳を澄ませているので、あなたが口に入れて噛んだ咀嚼音は周囲に聴こえています。これは雰囲気ぶち壊し。というか、それ以前に他人の咀嚼音なんて気持ち悪いです。
ポップコーンは完全に時代遅れなのです。
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そもそも、米国でポップコーンが劇場の定番商品になった時期の映画はサイレントです。レコードの音をギャンギャン鳴らしながら、時々出てくる字幕を読む。そんな調子だから音に注意を払う環境ではなかったのです。
ポップコーンが登場した頃にはね。
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▼そもそも日本人には不向き説:
日本でも映画館は20世紀の初めから創業しています。
1903年10月1日、東京浅草で電気館が開場した。これが日本における映画常設館の初めとされる。
営業中の常設館として現存最古の日本の映画館は、新潟県上越市にある1911年(明治44年)創業の高田世界館とされ、現在使われている建物も創業当時のものである。また、長野県長野市にある長野松竹相生座の建物は1892年(明治25年)から使われており、こちらも最古級である。
一方で、日本にポップコーンが流通するようになったのは1945年以降です。
日本にポップコーンが入ってきたのは第二次世界大戦後、アメリカ進駐軍とともにであり、国内での製造販売も当初は米軍向けであった。
よって日本でも映画館でポップコーンを食べるようになったのは、高度成長期に入って暮らしがどんどん欧米化していく流れでの出来事だったと思われます。
つまり、もともと映画を観ながらポップコーンなど食べる文化は無かったのに、アメリカへの憧れから真似するようになったと言えるかもしれません。
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▼私がしている工夫:
ここまで色々苦言を呈してきましたが、私も映画館のポップコーンを買うときはあります。なんか食べたい時はある。その時にしている工夫を書いておきます。
●派手な映画の時に限る
アメコミ映画とかアクション映画とか、基本的にノリが良くて、うるさそうな映画の時が多いです。
逆にミニシアターでも上映するようなアート系の映画では、場内の雰囲気が静かなので食べにくいから、今回は止めておこうとなることが多いです。
例えば、『LAMB』や『ケイコ、目を澄ませて』をシネコンで観覧した時なんですが、どちらもセリフがほとんど無くて環境音(風、木々、空調、足音、動物の鳴き声、人間の呼吸など)が重要なシーンが長く続くのに、ずーとポップコーンをかき混ぜ続けるバカと同じ上映回になってしまい、非常にクソな映画体験になりました。日本が法治国家じゃなかったら、そのバカが気絶するまで殴っていたかもしれません。(笑)
●音楽や爆発がうるさい瞬間に食べる
上とほとんど同じことを書きますが、一つの映画の中でも静かな時とうるさい時があります。ハリウッド映画で音楽がバンバン鳴ってる時や、銃撃戦が始まったときはポップコーンを豪快に食べるチャンス到来です。
逆に言えば、登場人物が悲しくて静かに泣いてる場面や、セックスシーンの途中で客席で無神経な音を立てるな、というだけのことです。静かなシーンは説明不要だと思いますが、セックスシーンでは基本的にプライベートな瞬間を見ているので他人が近くにいることを意識すると集中できなくなります。
映画館に慣れてない人がよく失敗しがちなポイントとして、映画の冒頭も、大抵のフィルムメイカーがこれから映画の世界に連れていくために音響で雰囲気作りをしていることが多いので、映画が始まった瞬間は食べない方が良いですよ。
あと、同じ理由で、映画が始まった途端にカバンから持ち込みのお菓子や飲み物を取り出すとかマジで殺意が湧くので止めてください。日本が法治国家じゃなかったら…(以下略)
●ゆっくり食べる
隣の席に座っている人が、ちょこまかと腕を伸ばしたり縮めたりを忙しく動かしているのは気になります。だからこそ、自分が食べるときには、なるべくゆっくり、腕を小さく動かして食べるようにしています。
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結局は、昨日に投稿した別のマナーとも繋がりますが、これも気遣いなんですよ。
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アメリカみたいに皆が街中や電車内で大声で喋ったり、スピーカーで音楽を慣らしているような自己中な土地だったら、そりゃ映画館もそれ相応に騒がしくなると思いますよ。でも日本は公共の場所で静かにするのがマナーとして常識の国ですから、映画館もそれに合わせて静かに振れるべきだと思います。
(了)
最後まで読んでいただきありがとうございます。ぜひ「読んだよ」の一言がわりにでもスキを押していってくださると嬉しいです!