【是枝裕和監督トークイベント】あの誰もが心に残るシーンは当初の脚本にはなかった!?是枝監督による映画真実の解説と樹木希林さんとの思い出 その3
雑誌「SWITCH」で樹木希林さんや是枝監督作品を多く記事にしているスイッチ・パブリッシング社。同社主催の『希林さんといっしょに。』& SWITCH刊行記念「映画監督・是枝裕和トークイベント」(2019年11月1日)に参加してきましたので、その1・その2に続き紹介していきたいと思います。
冒頭の記者インタビューの伏線を見事に回収?
その1でもお伝えしましたが、映画「真実」の最後のシーンではファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)やリュミール(ジュリエット・ビノシュ)が空を見上げますが、これは天国でのサラがみんなを眺めているという意図を持って製作されたそうです。その前のシーンに、家から皆が出てきて新作映画のメディア発表会に向かって中庭を歩いていく場面があります。そこで映画の冒頭で記者からインタヴューされて答えなかった「天国の入り口で(死ぬ前に)見たい夢は?」という質問について、今ならファビエンヌはどう答えるのかというやり取りがなされます。公開された映画「真実」では何と答えるか明かされていないのですが、実はそのシーンは撮影していたと是枝監督。リュミールの夫ハンク(イーサン・ホーク)が「(質問の答えは)何だと思う?」と聞いて、リュミールがこういう答えではないか、と言うシーンだったそうです。結果的にはこのシーンは無い方が良いと監督が判断しカットとなりましたが、私もあの含みを持たせたやり取りがとても好きです。
劇中の犬トトはカトリーヌ・ドヌーヴのペット!?
映画「真実」にはファビエンヌが飼っているペットの犬トトが出てきます。この犬はカトリーヌ・ドヌーヴが実際に飼っているペットなのかという質問が挙がりました。実際には、ドヌーヴのペットではないそうです。オーディションで一番情けなさそうな犬を選んだとのこと。ちなみに、カトリーヌ・ドヌーヴのペットの犬は、芝犬でジャックという名前(劇中の現パートナーの名前と同じ!)。ドヌーヴは撮影現場によく遅刻してくるそうですが、一緒にペットのジャックも連れてくる。しかも、現場で放ったらかしにするので、アフレコのセリフ読みをしている足元で走り回ったり、音を出すための砂場に飛び込んで穴を掘ったり。ドヌーヴは「やめなさい」などとペットに一切言わないので、監督はじめ「どうすればいいんだ!?」と困惑していたそうです。このエピソードを聞いた会場は笑いに包まれていました。
是枝監督にとっての樹木希林さんとは
一言で言うと面白い人だった、というのが是枝監督のお答えでした。頼りになる人でもあり、カッコよかったとも。思い出に残っているのは、娘の也哉子さんに叱られて拗ねている樹木希林さんだそうです。「海よりもまだ深く」でカンヌ映画祭に行ったときに樹木希林さんが体調を崩されてご機嫌ナナメになり、その態度がパーティの場で出ていたそう。そこで娘の也哉子さんが樹木希林さんに、こういう場でそういうのは良くないと叱られていたそうです。叱っている娘の也哉子さんと拗ねている樹木希林さんを側で見て、なんて素敵な親子だと思ったそうです。その時の樹木希林さんが可愛らしく、フツーに娘に叱られているただのおばあちゃんだった、と。是枝監督曰く、樹木希林さんが素敵なのは也哉子さんの存在も大きいとのことでした。
※メモを見つつ記事にしましたが、記憶が随分と怪しくなっています。ご容赦ください。
※樹木希林さんについて面白いエピソードが満載です。個人的に一冊持っていて損はないオススメ本!
参考 前回記事
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