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【是枝裕和監督トークイベント】あの誰もが心に残るシーンは当初の脚本にはなかった!?是枝監督による映画「真実」の解説と樹木希林さんとの思い出 その1

雑誌「SWITCH」で樹木希林さんや是枝監督作品を多く記事にしているスイッチ・パブリッシング社。同社主催の『希林さんといっしょに。』& SWITCH刊行記念「映画監督・是枝裕和トークイベント」に参加してきましたので紹介したいと思います(2019年11月1日)。
今回のトークイベントは2時間半にもわたり、たっぷりと是枝監督が最新映画「真実」についてお話され、また司会のスイッチ社編集長との対談や参加者との質疑応答が行われました。通常のティーチインだともっと大勢の観客&20分程度とのことで、こじんまりとした会場で濃く長い時間を過ごせたのは非常に幸せでした。その中で印象に残っているものを取り上げていきます。

あの誰もが心に残るシーンは当初の脚本にはなかった!?

リュミール役のビノシュが台本を読んで指摘してきたのは、この台本のままだとリュミールがずっと母親に抑圧されるだけになってしまうということだったそうだ。抑圧された受け身のリュミールだけでなく、どこかでリュミールが自分から動くシーンが必要だと。そこで是枝監督はリュミールが娘シャルロットを使って一芝居打たせて母親のファビエンヌを喜ばせるシーンを作り上げた。「こういう重要なシーンが最初から描けないから脚本家では食っていけないんだよな」と是枝監督、笑いを誘っていました。ちなみに、「万引き家族」でも、警察から安藤サクラさんが「なんて呼ばれていましたか。ママ?お母さん?」と問われて言葉に詰まるという重要なシーンがありますが、それも当初の脚本にはなかったそうです。

最後のシーンは、最初から決めていた

そんな脚本を変えていく是枝監督ですが、映画「真実」の最後のシーンだけは最初から決めていたそうです。最後のシーンというのは、ファビエンヌやリュミールら家族みんなを中庭の上から撮っているシーンですね。映画「真実」では亡くなったエマという人物をまつわる母ファビエンヌと娘リュミールの思いが描かれています。そのエマがファビエンヌやリュミールらを天国から見守っているという風にしたかったそうです。

是枝監督の次の作品は?

是枝監督は自ら脚本を書いて映画を撮られていますが、是枝監督曰く、自分の脚本だと描ける人物像などが限られるし、似た内容になってきてしまうとのこと。ある種の飽きがきているので、自分が描けないような脚本で映画を撮ってみたいと考えているとのこと。今後パリやロサンジェルスなどを拠点にして外国映画を撮っていくのかという質問に対しては、今回海外で映画を製作することで可能性が非常に広がったし楽しかったが、今後特に海外にこだわるわけではないとのことでした。また日本での映画製作もありそうですね。

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(続く)

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