マガジンのカバー画像

小説

6
運営しているクリエイター

#恋愛

消える声は明日の希望

消える声は明日の希望

第一章 美華の声

美華は、6歳のときに声を失った。声帯に腫瘍ができて、手術をしなければならなかったのだ。手術は成功したが、声帯は損傷してしまい、声は出せなくなってしまった。美華は、それまで普通に話せていたのに、突然声が出なくなったことにショックを受けた。母親は美華のことを見捨ててしまった。美華が生まれたときから、美しい声を持つ歌手になることを夢見ていた。美華の声は、母親の期待を裏切ったのだ。母親

もっとみる
青春軌跡②

青春軌跡②

美波は、光と青葉が両想いだと知って、ショックを受けた。美波は光のことが好きだった。でも、光は自分のことを友達としか思っていなかった。美波は光に告白したときのことを思い出した。

「光、私、あなたのことが好きなんです。」

「美波、ごめん。俺、青葉のことが好きなんだ。」

「そうなんですか……」

「美波、友達としては大切に思ってるよ。だから、これからも仲良くしてほしい。」

「うん、わかりました。

もっとみる
青春軌跡①

青春軌跡①

「青葉、今日も練習お疲れさま。」
光が青葉に笑顔で声をかけた。二人は幼馴染で、共にバスケ部に所属していた。高校3年生になっても、仲は変わらなかった。いつも一緒に帰ったり、勉強したり、遊んだりしていた。

「うん、お疲れさま。」
青葉も笑顔で返した。光のことが好きだという気持ちは、ずっと隠していた。光は自分のことをただの友達だと思っているだろうし、告白したら関係が壊れるかもしれないと思っていた。だか

もっとみる