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#025 いい通訳とは

#日経COMEMO #NIKKEI  2024年4月2日
日経 夕刊 あすへの話題 約630字

<すぎ>
 大谷翔平選手の通訳者の騒動。
私も少し手話を学んでいたことがありますが、そのとき先輩からこんな話を聞いたことがあります。
その人が間違ったことを言っていてもそのまま通訳しなければならないよ。通訳しているときに、あなたがその人に「それは間違っているよ」とアドバイスを入れたり、言葉にしていないのに「こういうことを考えているんだと思います」など、想像して付け加えたりはいけないと。ボランティアの手話通訳であっても、こうしたことは気をつけなければならないと教えられました。
 今回の大谷翔平選手の通訳者の騒動で、元通訳者がほとんどメモを取らずに通訳していたことや、正確な通訳がされていなかったこともあったようで、様々な意見が出てきていますね。
 一方、『生と死を分ける翻訳』という書評(本の紹介記事)には、ヤルタ会談でのチャーチルやスターリン、フルシチョフの通訳の難しさが紹介されているとのこと。
 正確な通訳・翻訳がいいのか、意図を組んで通訳・翻訳するべきなのか。難しい問題なんですね。


<ことば>
立ち位置(いち):立場(たちば)
~の難しさを思う:~は難しいなあ、といろいろと考える
中立(ちゅうりつ)な立場:どちらの意見にも賛成しない
訳出(やくしゅつ)に徹(てっ)すること:翻訳だけを行おうと努力すること
封印(ふういん)する:中のものが出ないようにしっかり閉める
肝心(かんじん):一番重要なこと
差し置く(さしおく):意見を聞かずに無視する
情報の全てを握る:すべての情報を知って判断ができる
守秘義務(しゅひ ぎむ) :秘密を守ならければならないという義務
渾然一体(こんぜん いったい):すべてが溶けあってひとつになること
便利屋(べんりや):雑用を何でもしてくれる人
メモ取り:誤りが無いようにメモを取ること
称賛(しょうさん)する:すばらしいとほめること
脚光(きゃっこう)を浴びる:みんなに注目され、ほめられること
いわんや:それはあたりまえだし、それ以上に
あくまで:どこまでも ずっと
黒衣(くろこ):歌舞伎で黒い衣装を着て、芝居の助けをする人。とても大切な役割をするが、陰で支える人。
他人の言葉を自分の言葉として語るのは、やっぱり苦しい:きちんと通訳するけれど、自分の意見や考えと違いがあることもあるので、とても精神的に疲れる
自分の唄を歌いたくなった:自分の考えを自分の言葉や文章にして世に出したくなった

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