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出かけたい彼女、寝ていたい僕


僕には、1つ歳上の彼女がいる。

お互いが社会人で、休みはほぼ一緒。

こんな僕達の休日の朝は、様々な戦略を使った戦が始まる。

僕は朝がとても弱い。1日中寝てろと言われればご飯も食べず、ベッドからも降りる事もなく生活をする事ができる。

それに対し彼女は、休みの日は出掛けたい!家に居たくない!どこでもいいから外に出たい!
と、僕からしたらとてもアグレッシブな考えを持っている。

彼女の戦略は基本YouTubeから始まる。
YouTubeで、となりのトトロの「さんぽ」や
クレヨンしんちゃんの遠足や家族でピクニックに行く話を耳元で流し、僕を洗脳しようと企んでくる。

そんな僕の作戦は、あえて寝てるフリ。
寝てるフリしか出来ないのでは無く、ここはあえての寝てるフリだ。

洗脳攻撃を受けてから10分程経つと、彼女は次の一手を打ってくる。

次の彼女の戦略は、季節によって変わってくる。
春、夏はリビングから毛布を持ってきて、僕に包めてくる。ハッキリ言って迷惑だ。
秋、冬は逆に毛布を奪って、僕を極寒の地に無防備の状態にする。殺す気か?と聞きたくなる。

洗脳の次は物理的攻撃か、と思いながら僕の次の作戦はそう。寝てるフリ。
ここで勘違いだけはしないで欲しい、僕は断じて寝てるフリしか出来ないのでは無い。
ここでもあえての寝てるフリだ。

この作戦が始まり、春夏は汗を掻き、秋冬は震える僕をみて彼女は可哀想になるのか、この作戦も10分程で終わる。
その優しさがあるなら最初から辞めてくれ。とも思うがそれはあえて言わない。

この次からは戦略とは程遠い、むしろ子供のように
お腹空いた〜、暇〜、1人で出掛けちゃおうかな〜など、まるでプロ野球楽天イーグルスの野村克也元監督のようなささやき戦術を繰り出してくる。

勿論、聞こえている僕は彼女が1人で出掛けられない事もお見通しなので、ここも当然のように寝てるフリを貫き通す。理由はもう不要だと思うので割愛する。

この様な戦も始まりから40分程経過すると戦はもう終盤だ。彼女は最後の手を打ってくる。

トントンと僕の胸あたりを叩いてきて、女神のささやきかと思うほどの優しい声で「起きて」と、一言。
いかにもたった今、目を覚ましたかのように僕が目を開けると。
目の前では、本当に女神のような彼女が微笑みながら、「やっと、起きた」と笑いかけてくる。

どんな戦略にも屈しない僕だが、この攻撃だけは耐える事が出来ず、心の中で白旗を振りながら「おはよう。」と、今日も敗北する。

これでもう何連敗目だろう。

次は、どんな戦略でくるのだろう。
次こそは一矢報いてやる。などを考えている時点で彼女の策略にハマっているのかもしれない。

僕と彼女の終わりの無い壮絶な戦はまだまだ続く、、、

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