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デザイン思考の「テスト」について

デザイン思考には5つのフェーズがあるとされています。今回はその5つ目のフェーズである「テスト」についてみていきたいと思います。

デザイン思考「5つのフェーズ」a4

なぜテストを行うのか

経験上、われわれは意識しないとすぐに“自分たちが欲しいもの”を作り始めてしまいます。これは仕方のないことだと思います。なにかを生み出す、創り出す過程は楽しいからです。

しかしながら、ユーザのニーズを満たしていないのならばそれはただのガラクタ(失敬!)になってしまうのです。これは悲劇です。長い目でみれば喜劇かもしれませんが、そこまで待ってもらえないことが多いと思います。

こうした悲劇からわれわれを救ってくれるのがフレームワークです。今回のテーマでいえばデザイン思考の5つのフェーズがそれにあたります。「テスト」のフェーズを設けることによって強制的にユーザの視点に引き戻してくれます。

製品・サービスのソリューションアイデアをユーザに示すことによって“ほんとうの課題”について学ぶために「テスト」を行うわけです。

イノベーションを引き起こすには3つの観点の重なりを意識することが大切でした。

技術・ビジネス・人間p37

テストを行うときの3つの観点

テストを行う際に大切な観点は主に3つあるとされています。1つ目がプロトタイプ(およびソリューションアイデア)を改善するため、2つ目が課題定義を見直すため、3つ目がユーザについて学ぶため、です。

プロトタイプを実際に見てもらうことでどこを修正すればいいのかユーザに直接聞くことができます。ただ、ここで重要なのはプロトタイプをよくすることではなくて、もちろんそれも大切なのですがより重要なのは、課題定義が適切であったかを確認する姿勢であると思います。これがすごく難しい。

具体的に聞くと具体的に返ってくるのですが、双方がプロトタイプに(のみ)フォーカスしてしまうので、なぜそのプロトタイプが生まれたのかを往々にして忘れてしまうのです。

だから、大切なのは、ここでも「なぜ?」と問い続ける姿勢です。製品・サービスのソリューションアイデアについて説明したら、いいところ・よくないところを聞くだけでなく、「なぜいいのか」「なぜよくないのか」まで聞くようにします。よくないところの理由は聞いても、いいところの理由までは聞かないと思います。そこを聞いていきます。

さらに、「ほんとうにしたかったことはこれで解決できますか」ということを言葉の有無にかかわらず観察するようにします。言葉では「いいね」といってくれていても、仕草や表情では(ないな)となっていることがあります。なかなかに骨の折れる作業なのですが、このフェーズで大切なことだと思います。

思考/試行は続くよ、どこまでも

こうして5つのフェーズをこなしてきたらやっとおしまい、ではなくて、よりよい製品・サービスのアイデアを創造するために2周、3周と繰り返していくことになります。

デザイン思考「5つのフェーズ」繰り返しa4

イノベーションの航海は始まったばかりです。

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