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考える攻撃の体現者。(2019/3/19)

今シーズンの、付属中ソフトボール部のプレーテーマは
「考える攻撃・考えない守備」。

ボールファーストでのアウトを中心に、取れるアウトを着実に重ねていく一方で、
攻撃においては、バッターもランナーもより頭を使って1点をもぎ取ろう!
という、ものである。


先日、試合形式の練習を行なった。
いつもは、「打席慣れ」「自身のバッティングの実践」に重点を置いていたこの練習において
今回は、「考える攻撃の体現」を目的とした。
そこで、彼女達に課したミッションは「出したランナーを、絶対にホームまで返すこと」。

守備者は7人。
あえて、必ず付け入る隙が見つかるような状態を作った。


今回の練習で、彼女達に理解して欲しかったことは2つ。

①考える攻撃の体現者は、みんな(選手達)自身であるということ。
②打席の勝負は、「自分 対 バッテリー」ではなく、「自分 対 バッテリー&7人の野手達」であるということ。


まず①について。
実際の試合では、ベンチからサインが出て、そのサインをバッターが、ランナーが実行する形になる。
ただし「ただ実行する」だけでは、どこのチームもやっている、いたって普通の攻撃だろう。
選手達に、更に考えて欲しいことは
「そのサインを成功させた次の自分」だ。


ありがちなプレーを例にとって考えよう。(※競技レベルは、中学女子の地区大会と仮定する。)

ノーアウトランナー1塁で、バントのサインが出た。

<1塁ランナーの思考>
・まずは、2塁に進むことを考える。2塁には大抵、安全に進めるであろう。

☆(バントでサードはチャージしている、またショートは盗塁警戒でセカンドベースカバーの意識が強いゆえ、
サードのベースカバーが手薄になる。)

・もしかしたら、3塁が空いているかもしれない。3塁まで進むことを狙っていこう。


<バッターの思考>
・1塁ランナーを3塁まで進ませるには、サードに取ってもらった方がいいな。(上記、☆参照。)だから、サード方向に転がそう。

(自分のバントが成功して、1塁ランナーが3塁まで向かっていたら、野手陣の意識はきっとそのランナーに向かっているはずだ。そうしたら、自分への意識は薄くなる。もし自分に野手陣の意識が向いたとしても、前のランナーが進塁できるなら、挟殺プレーもオッケーだな)

・2塁に進むチャンスがあるかもしれない。2塁まで進むことを狙っていこう。


といった感じである。
どれくらい、「次のプレー」「次の次のプレー」が想像できるか。
これこそが、考える攻撃の“肝”となる部分であろう。

また、往々にしてノーサインのときがある。
すなわち、バッターに全権が委ねられるとき。

考えることは、いつも同じ。

『塁にいるランナーを、ぜったいにホームまで返すために自分ができることを実行する』

フルスイング以外の引き出し「も」、
自らの手で開けられるような選手になってほしい。


さて、続いて②について。
①でも少し話題にしたが、よりランナーを進めやすい、あるいは自分が出塁しやすい攻撃手法を考える。
その時に参考になるのが、野手陣の守備位置である。

サード/ファーストが深かったら、バントが有効かもしれない。
ショートが深かったら、ショート手前にコツンと当てて走れば出塁できるかもしれない。
1球目バントのフリしてバントを警戒させて、2球目はバスターをすれば、内野の間を抜けるかもしれない。

バッテリーとの駆け引きはもちろん、
バッターというのは、守備者達とも駆け引きをするのだ。
そして、その駆け引きの中で大切なのは、

『守備者の動きを見ながら、ストーリーを組み立てること』

相手の隙を突く、イヤなところをつつく、
そういった攻撃で点数をもぎ取ることができれば、試合の流れも勝機もグッと近づいてくる気がする。


勝つ楽しさ=考えるつらさ
これらは表裏一体であると、私は感じている。
とことん考えてから勝負に挑んだつもりでも、出し抜かれることがあるからおもしろい。
その度にまた、新しい発見をさせてもらえる。

プレーとプレーとのあいだの『間』が、次の作戦を考えて、次のプレーに備える時間となる『頭』のスポーツ、
それがソフトボールなのだ。



『すべて答えは、プレーヤーの中にある。』

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