見出し画像

私はそこに、伸びしろを見る。(2019/3/25)

3月22日。

チーム内で紅白戦が行なわれた。
夏に引退した3年生 vs 現役1、2年生。

勝負の世界ではよく「結果が全てだ」と言われることがあるが、成長に比例した結果しか生まれないのは当然のことである。

よりよい成長へと選手を導くことは、指導者の仕事だ。
選手達の試合結果=指導者陣の指導結果とも言えるだろう。


試合結果は6-0で敗戦した。

四球で出したランナーを、エラーで帰還させてしまった試合だったと、私は振り返る。


試合後、私は選手達に
「負けは、伸びしろだ。」と伝えさせてもらった。

相手チームに及ばなかったところがあったから、負けた。
それは、どこか。
これから何を強化していけば、チームが強くなれるのか。

練習に臨む上での、沢山のヒントをくれるのが「敗戦」であると、私は考える。


試合の中で、致命的なエラーがいくつかあった。
そこで考えるべきは、エラーしたという事実ではなくて、どうしてエラーしてしまったのか。


<例>
・ゴロの打球に対して、ボールが自分に「迫ってくる」のを見てしまった。
→ボールが自分に「迫って来る」のと、ボールに自分が「迫っていく」のを比較したとき、恐怖心が薄いのは後者であろう。
言葉の詐欺じゃん、と思うかもしれないが、事実、恐怖心が薄れた方が腰は落ちるし、ボールへのアプローチの精度も上がる。
そして、ボールに自分が“迫っていく”ということは即ち、“足を動かして”自分からボールに寄っていくという動作をすることでもある。

・ライン際のボールに対し、反応が遅れてしまった。
→まず、対応策として1歩ないしは2歩、ライン寄りに守備位置を動かすことを考えてもいいかもしれない。
また、普段の練習でボールが捕れていたとしても、確実に打球の延長線上に身体を入れて「ボールを抑える」意識を強く持つ。
「捕球する」だけではなく、「良く捕球する」ことにこだわった練習をする。

・2アウトからの牽制球
→ピッチャーの調子に拠る部分はあるが、「基本はバッター勝負」。
逸れた牽制球によりピンチを招くくらいなら、目の前にいるバッターからいかにしてアウトを取るか、集中して考えを巡らせる。



そして。
試合の命運を握るのは、やはりピッチャーであるということを再認識することとなった。


負け惜しみになっている気もするが、現役生が得点を奪えなかったのは彼女達の打力が皆無だったからではない(と私は思っている)。
ピッチャーがスゴすぎるのだ。とにかく、球速が速い。

私が現役時代に感じたことの1つに
「具体的な指示が、思い切りのよさをもたらす」
というものがある。

そこで、私の提示したピッチャー対策が
「あらかじめテイクバックを引いた状態でボールを待ち、すぐスイングできる形を作っておくこと」
「ベルト付近の球だけに絞ること」
「チェンジアップを捨てること」
の3点である。

選手達がその指示をどのように受け止めてくれたのかは分からないが、
実践しようと試みてくれていることは、しっかり伝わってきた。

勝敗を左右する要素の1つとして
『早い段階で、相手ピッチャーの対策をチームで徹底すること』
が、挙げられるだろう。


反対に、自分達も「バッテリー力」を上げることができれば、勝ちが自ずと近づいてくるということでもある。
今回の試合後に、登板した2人のピッチャーに、ピッチングの自己採点をしてもらった。
各々「50点」と「5点」と答えた。

『もっと自分を評価してもいいんじゃん!?!?』と喉まで来た言葉をグッと飲み込み、その理由を尋ねてみた。
両選手が課題として掲げたのが「コントロール」という話だった。

まだまだ上手くなる伸びしろが詰まった彼女達の返答に、嬉しく感じた。
今後、バッテリーコーチとしての役割を果たすことができなくなり、彼女達の成長段階を間近で追えなくなることが悔しいが、カウントを意識した投げ込みと、打者との実戦練習を増やして、自分達が伸ばしたいと考えている要素を存分に磨いていって欲しい。

嬉しい成長も沢山見ることができた。
2ストライク3ボールからの勝負の1球を決められたこと、
球速の増したストレートで気持ちよく空振りを取れたこと、
チェンジアップが通用したこと、
継投でイニング途中からのピッチングで踏ん張れたこと など。

「ピッチャーを2人作った方がいい」
という、寡黙な3年生ピッチャーが残してくれた、私への唯一のアドバイスは、
『左右両エース』という形で実現できるところまで、近づいてきている。

あともう2歩、3歩くらいステップアップして、
夏の大会後に、自身のピッチングに及第点をつけられるようであってほしいと願っている。


話は、試合後の事に移る。
2つ、印象的な出来事があった。

1つは、顧問の先生が投げかけて下さった言葉が、思いがけず辛辣な言葉であったということ。
春・夏までの強化ポイントが沢山見つかったと同時に、これまでの練習通りの成果を出していたな~と思っていた私にとっては、
まさに、寝耳に水であった。
そういう見方もできるのか、と。

やはり、ずっと選手達と一緒にいると、選手やチームの小さな変化に疎くなる部分があるのかもしれない。


もう1つは、選手数名が解散後、その足でバッティングセンターに行っていたこと。
「打てなかったから、もっと頑張らなきゃ。」
その精神が、そしてそのアクションをすぐに起こせる行動力が、伸びしろの塊であると感じた。

不安を消すための練習ではなく、自信を増やすための練習時間を積み重ねることが必要だと考える。


今の彼女達には、まだ、「次」がある。
リベンジチャンスがやってくる。
後悔先に立たず。
リベンジできる間に頑張りきった方が、ぜったいにいい。



『過去は変えられないけど、過去の捉え方は変えられる。』

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?