【小説】 骨の消滅 ー神話の中の哀しみー
プロローグ
「圭ちゃん、本当に大切なものは目に見えないんだよ」
あれはいつ頃のことだったのだろう。
そうだ、おばあちゃんがぼくにそういったのは、ぼくがまだ小学校に上がって間もなくの頃。確か家の裏にある小さな祠を遊びがてら覗いたときのことだ。あのとき、おばあちゃんは確かにそういった。
いつもは優しいおばあちゃん、けれど、そのときだけは真顔でそういったんだ。そのときのことを、今でも思い出す。
あれからずいぶん時間が経ったけど、ひょっとするとおばあちゃんは本当に大切な何かを教えたかったのかもしれない。今となっては遅きに逸したのかもしれないが。
この物語を進めるにあたってぼくが今一つだけいえることは、おばあちゃんのそのあとに続いた言葉が結局のところ、この出来事の本質を言い当てていたということだ。
「目に見えないものに敬意を払いなさい」
その言葉の意味を理解するのに、ぼくはずいぶんと回り道をしてしまった。願わくば、その回り道が無駄骨に終わっていないことを、今は静かに祈りたい。そう、あのときはそんなことを考えもしなかったのに・・・・。
第一章 出会い
第二章 神話への旅路
第三章 あくびをするような蒼い洞窟
第四章 ぼくは神話探偵
第五章 神殿への鎮魂歌
エピローグ
この物語はフィクションであり、登場人物は実在の人物ではありません。
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