「敗北せし勝者」

勝ちとはなにか。

何をもって勝った。そう、私たちは思うべきなのか。少年達は今夜だけ勝者。明日の朝からは敗軍となる。「今日の試合の成績は0点だ」。と先生が言われた。優勝旗を取り囲んだ戦士達は、空気の壁に凍み着いていた。何をもって勝ったと思えばいいのか。対戦スポーツには、まま、マグレというのがあるもの。相手の不調、トラブル、アクシデントでたまたま勝てた。それを、明日以降も勝利と言ってはならん。厳命である。その一瞬を、旗の布目に織り込まれたように、少年達は褪せた。何をもって勝利と言うべきなのか。これが、明日からの彼らの長い長い苦しみになる。苦しめ。そして、捌きとれ。

そして。

すべての勝ち足る人々よ。貴方は別に、勝利者ではないのだ。

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