神楽坂いづみ

教員をやったり子どもを養ったり趣味に没頭したりするアラサー男子。最近レディースの服を買い揃えることにはまっていて、もうどこに行こうとしているのかよくわかりまてん。

「イレーヌと漂いつつ」(5)

朝の教室はざわざわと騒がしかった。 「女の子の絵がどこにもないの」  私や聡子の顔を見るなり、先に来ていたクラスメイトが血相を変えてとんできた。 「どういうこと?…

「イレーヌと漂いつつ」(4)

登校中、聡子はずっとイレーヌの話をしていた。誰が移動させているか、なんのために動かしているのかもわからない。先生に聞いてもそんなこと知らないという。この学校の中…

「イレーヌと漂いつつ」(3)

「絵が勝手に移動してるんだって」  朝、教室に入ったら誰かが静かにそう言っていた。 「どの絵が移動してるの」 「白いワンピースを着た女の子の絵。昨日、3階のトイレ…

「八つ(原題:Eight)」を観る

2016年に発表されたピーター・ブラックバーン監督のオーストラリア映画。amazon primeでたまたま見つけ、強迫性障害を取り扱っているということでウォッチリストに入れてお…

「イレーヌと漂いつつ」(2)

今日も、階段の踊り場にはあの男がいた。  腹立たしさを押し殺しているような視線をこちらに投げかけている。絵の具のうねりが男の執念の強さの表れに見えてくる。彼は何…

「イレーヌと漂いつつ」(1)

階段の踊り場から少女が消えた。  4階まで続く長い階段をもうすぐ登り切ろうというときに、彼女の姿がいつも目に入る。額縁におさまったその少女はわずかに上目遣いをし…