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「イレーヌと漂いつつ」(10月24日完結済)

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手すさびに書いてしまった小説です。 よろしければ感想などいただければ幸いです。
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記事一覧

「イレーヌと漂いつつ」(13・終)

「今日、保育園の見学に行ってくる」 「そうなんだ。家の近く?」 「うん。自転車で10分くらい…

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「イレーヌと漂いつつ」(12)

 昨日、ここにかかっていたはずのイレーヌは消えていた。名越さんの手によってかけられたはず…

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「イレーヌと漂いつつ」(11)

「結局、イレーヌの絵を動かした犯人はわからずじまいってわけか」  大黒先生はスケッチブッ…

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「イレーヌは漂いつつ」(10)

「ひとまず、絵が入れ替わるということは今日も起こらなかったそうです。原因はまだわかってい…

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「イレーヌと漂いつつ」(9)

「あのね」  お母さんに向けて自分の口から出た言葉が、いつもと違う響きを含んでいることを…

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「イレーヌと漂いつつ」(8)

「もしもし、緑保育園です」 「あ、こんにちは。私、聖友学園高等学校3年の御影ほのかと申し…

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「イレーヌと漂いつつ」(7)

 私が起きたときにはお母さんはもう仕事に出かけていた。「取材で遅くなります。私の分の晩ご飯は必要ありません」という書き置きが机の上にあった。スマホ全盛時代の中で書き置きなんて古典的だったが、お母さんの字は溌剌としていた。部活動で休日もいろんな土地を飛び回る学生を思い起こさせた。それって本来は私の姿じゃないか。私は何をしている? 学生である私は10時まで惰眠をむさぼって、今学生の模倣である母親の書き置きを見ている。お母さんは退化してしまったのか。お母さんが本当になりたい自分って

「イレーヌと漂いつつ」(6)

 土曜日の市立図書館。賑わいはないものの、多くの人の気配が漂っている。昔はよく本を借りに…

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「イレーヌと漂いつつ」(5)

 朝の教室はざわざわと騒がしかった。 「女の子の絵がどこにもないの」  私や聡子の顔を見る…

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「イレーヌと漂いつつ」(4)

 登校中、聡子はずっとイレーヌの話をしていた。誰が移動させているか、なんのために動かして…

「イレーヌと漂いつつ」(3)

「絵が勝手に移動してるんだって」  朝、教室に入ったら誰かが静かにそう言っていた。 「どの…

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「イレーヌと漂いつつ」(2)

 今日も、階段の踊り場にはあの男がいた。  腹立たしさを押し殺しているような視線をこちら…

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「イレーヌと漂いつつ」(1)

 階段の踊り場から少女が消えた。  4階まで続く長い階段をもうすぐ登り切ろうというときに…

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