香りの話【3冊目:香を楽たのしむ/4冊目:香りの旅】
香り」の問題は、「人間尊重」と直結しています。「香りを楽しむ」とは、「美しく生きる」ことでもあるのです。
- 香をたのしむ ※1
先日の記事でごはんの香りについて触れた時、ふと思った。
「では、今の自分が所有している香りはどれくらいあるだろう?」と。
本日のお供は、『香をたのしむ』(現代書林)と『香りの旅』(千早書房)の2冊。
前者は、日本や西洋における香りの種類や遍歴、楽しみ方について記されています。
実は私が「無意識的記憶」や「プラースト現象」という言葉を知ったのも、この本から。
後者は、著者によるヨーロッパでのポプリを巡る旅のエッセイ。
そのどちらも、まるで文面から香り立つような、香りの魅力が詰まった本です。
私にとって香りは、気分を切り替えるスイッチとして使うもの。
自分の手元には主に下記のフレグランスがあります。
①ハッカ油
②アロマオイル3種(空間用1本、体用2本)
③ロールオンタイプの香水2種
④お香1種
書き出してみると、結構数多く持ってますね。
使用用途として、ハッカ油とお香は掃除の時に、ロールオンタイプの香水は身支度を整える時や日中の気分転換に。また、アロマオイル(空間用)は水回りの芳香剤としています。
体用のアロマオイルは、足の浮腫をなんとかしたい時に使います。
何せ事務職なので自席に居る時間が長く、どうしても浮腫みやすいんですよね。
卓上タイプのルームフレグランスもチャレンジしてみたことはあるのだけれど、常に香りが満たされている状況は気持ちが悪くなってしまったので断念。
私にはその時々で一瞬ふわりと香る方が合っているよう。
最近では洗濯洗剤やシャンプーなど「香り」を売りにしたの商品が、以前より増えた気がします。
私は極力香りが残らない商品を選んで使用していますが、陳列棚を前にすると香りの種類に圧倒される。
それだけ人は、良くも悪くも「香り」に敏感になっているのだろうなと思う。
販売される商品が増えるに比例して、自分が心地よいと思う香りを見つけるのはなかなか大変。
メーカーによっても違うし、店頭と自宅では香りの印象が変わるので、自宅で使うと意外に香りがキツイ、なんてことも多々ありますから。
香りとの付き合い方は人により千差ありますが、私のイメージとして「良い香り」と認識されるものは総じて柔らかく空間に漂うように、さりげなく芳香するものが多いような気がします。
そして香りを持つモノは、何も人工的に作られた商品だけではありません。
私自身は自然に触れる機会は日常生活ではほぼないのだけど、旅行先などではお寺などの庭園を見るのも好き。
そういう時にふと感じる自然の香りというのは、なんとも心穏やかになる。
最近では、街路樹の金木犀の香りと、そこに咲いている小さな橙色の花を見ると
とても嬉しく穏やかな気持ちになる。
普段は嗅覚→視覚という流れで「香り」を認識するのだろうけれど、視覚が心地よいものであればあるほど、「香り」の印象が強くなる気がする。
ほんとうに、花や草木をみつめ、香りに包まれていると、やさしい気持ちになる。直接、ふれられないときは、記憶の中の自然に会うだけでもよい。だから人は、できるだけたくさんの美しい自然を体験して、心の宝庫をいっぱいにしておいた方がよい。
-香りの旅 ※2
色々な体験を通して楽しみや優しさで心の宝庫をいっぱいにして、香りを楽しむ。
香りというのは、なんと奥深いものなのだろうと、2冊を読んで思うのです。
また、『香をたのしむ』では、香りの楽しみ方の他に、悪臭についても記載されています。
先頭の一節は、悪臭について記載された章からの一文です。
例えば排泄の処理がされず放置している状況であったり、処理されず放置された物が腐る状況などではニオイは悪臭に変わる。
ニオイを香りで上書きするのではなく、ニオイが発生しないようにきちんと身の回りを整えられる環境であれば、悪臭は発生しない。
「香り」の問題は、人間の尊重にも繋がるのだと。
香りは、自分の心身の状態を知る一種の目安にもなるのかもしれません。
[引用]
※1
書名: 香(かおり)をたのしむ
著者: 坂本圭一
発売: 現代書林
ISBN: 978-4-7745-1225-9 C0077
※2
書名:香りの旅
著者:熊井明子
発行: 株式会社千早書房
ISBN: 4-88492-400-2 C0095
(敬称略)
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
皆様が素敵な本や言葉と出会えますように。
良い時間をお過ごしくださいませ。
Izumi
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