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或る中小企業の経営破綻から学ぶ:「みんな仲間だ」の危険性


或る中小企業の創業者が高齢になったので、その息子がその会社を継承しました。

親からの経営権継承後、その息子は副業として飲食店進出を目指しました。

その息子は「従業員同士でアイデアを色々出し合って、みんなで一緒に飲食店を盛り上げていきましょう」と従業員に言いました。

「経営者うんぬん関係なく、みんな仲間だ」

というスローガンを掲げていたのです。

しかし、飲食業界はさまざまな事業の中でも飛びぬけて生き残りが難しい業界です。

案の定、その飲食店も開店後、客足が伸びずにいました。全てに通じることですが、うまくいかないときにこそ、その人の真価が問われます。その息子は

「どうして客足が伸びないのだ!?ちゃんと運営しているのか?」

と次第に従業員を問い詰めるようになってしまっていました。

「飲食店の運営を従業員に丸投げしておきながら、うまくいかないときは、責任をその従業員に押し付ける」という経営姿勢が露呈してしまったのです。

その飲食店は結局閉店することになりました。その息子は、この飲食店の失敗から何も学ぶことなく、相変わらず

「経営者と言う立場に関係なく、みんな仲間だ」

をスローガンに立てていました。しかし、その真意は


「丸投げ・人の手柄はとるが、責任は取らない」


という意味なのだと、従業員の間では周知の事実となってしまっていました。最終的に、従業員の誰もその息子に本音を言わなくなってしまいました。こうして

裸の王様・最悪な経営者の完成


に至ります。「こんな最悪な経営者の元では働きたくない」と、若い従業員がぽつぽつと辞めていきました。

結果的に、その会社に居残る従業員は、他に行くところのない長年勤めている人だけ(年配の方だけ)、となってしまいました。

世代の新陳代謝が進まなくなってしまい、次第に業績が悪化しました。そして最終的に倒産に至ります。

「みんな仲間だ」

というスローガンが経営者としての判断力・決断力を大きくブレさせた典型例です。ご参考になれば幸いです。

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