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『弱キャラ友崎くん Lv.1』読みました

またnoteにあげるのが隔日になっている……
どーも、井の中のリンです。
今日は読んだ本の感想とか雑記です。
読んだ本はガガガ文庫から、屋久ユウキ『弱キャラ友崎くん Lv.1』です。
自分の個人的感想なので悪しからず……


あらすじ

これが人生(クソゲー)攻略の最前線!
人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。
だって、人生には美しくシンプルなルールがない。あるのは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。
だから、クソゲー。
あまたのゲームに触れ、それらを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。
――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言いきった。
生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。
しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって? 
……普通は、そんなの信じない。
だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ! 

感想


知り合いに勧められて読みました。アニメ化が決まって、少しネットで調べてみたら評判も良かったので購入しました。
まずテンポが良いですね。主人公の友崎と、パーフェクトヒロイン、日南の会話文の掛け合いを中心とした文章はスラスラと頭に入ります。その癖、ラブコメの定番をおさえつつ、しっかりと中身のある内容なので、読んでいて心地が良かったです。
自分がラブコメのラノベを読んでいたのが、ずいぶん前の話なので最近の傾向はわからないのですが、複数のヒロインが登場するラブコメとしては珍しいのでは、と思いました。
日南以外の、みなみや花火、泉らのヒロインの、物語への登場から本筋への参加、そして友崎との関わりが、友崎の目標を達成するための手段となっているので、複数のヒロインが一気に登場する事への違和感がありませんでした。(ハーレムラブコメで良くあるのが、偶然転校してきた新ヒロインや、主要人物の妹キャラのいきなりの登場など、物語の脈絡のない新ヒロインの登場)
またその過程で、友崎が全く関わったことのない女性キャラとの関わりがドキドキさせるので、まだ恋愛描写がないのに下手なラブコメよりラブコメしていると思っています。

これと似たラブコメ作品で、漫画ですが『神のみぞ知るセカイ』がありますね。
これもヒロインの攻略自体が主人公の問題解決に繋がっています。(ただし物語への登場自体は話ごとにその都度、登場するのでご都合感は隠し切れない印象を受けました。『神のみぞ知るセカイ』はその部分を評価する作品ではないので、だから面白くない、とかではありません)

この作品は、自分なりの解釈ですが、「好きな事をし続けるには自分がしたくない事でも、やらないといけない事がある」というメッセージが込められている気がしました。
例えば、好きなゲームを極めた友崎は、生きていくうえで他者との関わりを、日南に強制されます。日南は友崎にアタファミで勝つために、試合でわざわざ負ける事を強いられる特訓をしており、泉は中村が好きなあまり、全く興味のないアタファミの特訓を始めます。
あくまでも私的解釈なので実際、そういうつもりで作者さんが書かれたのかはわかりませんが、もしそうなら面白いなと思いました。

各登場人物について


主人公、友崎 文也
今作の主人公で、おそらくこの作品をここまで面白くしているキーパーソンですね。
ラブコメ作品でよくあるのが、ヒロインを可愛く、魅力的に描く事に集中しすぎて、肝心の主人公の人物像が、鈍感な事以外は、取り立てて特徴がなく、読者から好感を持たれにくくなって、作品自体に賛否が分かれてしまうという事です。
そういったラブコメの主人公に比べて、人生をいかにより良くするかという目標の為にトライアンドエラーしていく様は応援したくなります。

メインヒロイン、日南 葵
完璧超人、日南 葵。
この作品では、彼女が、まだつかみ切れていません。
完璧超人である日南が、自分がもっとも見下すで、あろう人種の友崎にわざわざ時間を割いてまで友、崎の人生改革に手を貸す理由が分からなかったからです。さよならと言って別れようとしてから、そういった判断に至った理由が、いまいち読み取れませんでした。
別れようとしてからの友崎との会話の中で、友崎は努力すれば変われると思ったからでしょうか? ただ好きなゲームのアタファミをしたいだけならネット上の関係で良かったはずです。その辺が分かりにくいですね。
下でも書いているのですが、この作品、対人能力ゼロの友崎の一人称一元視点で進むので他の登場人物の心情がすごく分かりにくいのです。特に日南は隙がない完璧超人なので少し感情移入がしにくかったですね。
おそらく彼女の過去にも何かあるのでしょうが、その辺が分からない事には何ともといった感じです。続巻に期待です。

泉 優鈴
1巻でのヒロイン。
カースト上位女子。空気を読んで自我が薄い系女子。
想い人である中村のために、誰かに知られたらクラスでの立ち位置に影響を及ぼすかもしれないというリスクを犯して、アタファミを全く交流のない友崎に教えを請います。主人公である友崎からの好感度を稼ごうとかじゃないんですよね。全く関わりのなかった二人がお互いの事を少しずつ理解していくも、そこに恋愛感情がないのが泉の一途さを象徴していると思います。

気になったところ


文章の構成上、仕方のない事かもしれませんが、テンポの良い反面、対人経験ゼロの友崎の一人称一元視点で描かれているので、実際に友崎と心のうちを話した人物でないと何を考えているのか読み取りづらいですね。日南はその典型でした。日南以外の人物は、友崎とやり取りした言動を、友崎が日南から与えられた課題を通して、日南が解説しているのでまだ理解できました。(逆に泉はそこがしっかり描写されていました)
他にもまだ書きたい事はありますが、2巻以降の展開次第な部分もあるのでこの辺で。

ちなみにこの作品以降、漫画や小説はすべて電子書籍で読む事にしました。もはや部屋に置くスペースがないので……

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