紫陽花の無限の前に腕を振る
(あじさいの むげんのまえに うでをふる)
季語|紫陽花
『無限の前に腕を振る』
という一節は、中原中也の詩から。
何故だろう
紫陽花を見ているといつも
無限という言葉を思い浮かべる
繰り返し繰り返し波打つように
無限が私のほうに打ち寄せては
私の手前で彼方に去っていく
まるで、海を前にしたときと
同じような広がりを
そこに感じてしまう
まるで小宇宙を閉じ込めたような
花の姿のせいだろうか
無限の宇宙を想起して
私が手を振るのは
無限に続く宇宙なのだろうか
紫陽花に無限のさよなら我ひとり
紫陽花の無限のさよならこだまする
紫陽花の無限の前に腕を振る
まだ、何かが足りない
言い尽くせていない
言葉が見つからない