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変化する「LARME」に置いてかれる私

具体的な名前を出してしまって恐縮だが、私は最近「LARME」という雑誌の存在が気になってしょうがない。
表紙から溢れ出る可愛いオーラと、ピンク色の世界、なんてったってキャッチコピーは【甘くてかわいい女の子のファッション絵本】。
服装の価格帯やモデルからして、明らかに親金からむしり取る学生ではなく、自分のお金で好きを突き詰めるお姉さんがターゲットだ。

だが、最近のは私の知ってるLARMEではない。

かと言って昔のLARMEを知っているのかと言われると、存在を軽く知っていたくらいで、正直あんまり物申せるほどのポジションではない。
ちょうど私がその時期は自分の可愛いを押さえつけていたこともあり、手に取るようなことは一切なかった。

そんな私が急にこんなことを言い出したのは、ようやく自分の好きを認められるようになったからだ。
かなり遠回りをしてしまったが、ついに手に取れる時がやってきた。
そう思って、いざ蓋を開けてみたらこうだ。

あれ?私の知ってるLARMEじゃないぞ、と。

色々と調べていくうちに私が一番驚いたのは、編集者が変わっていなかったことだった。
つまり、あの変わってしまった(と思われた)LARMEは、決して誰かの手によってスピンオフLARMEが勝手にできてしまったわけではなく、れっきとした雑誌LARMEとして、リニューアルされただけだったのだ。

変な話、モデルも歳を取るわけで、いつまでも同じテーマの雑誌に載っていられるわけではない。
アイドルやプリキュアの年齢がいつの間にか年下になるように、気づけばモデルも年下ばかりが起用されていく。
掲載されるモデルは、常に若さを求められている。まるで暗黙の了解のように。
私は歳を取っていくのに、モデルは私が知っていた時代よりもどんどん若くなっていく。
だから、私の知っているLARMEがそこに無いのは、仕方がないというわけだ。

とはいえ、新装版が出た時にちょっとだけ世の中がザワついたのも事実。
ここで問題になったのは、モデルではなくインフルエンサーを沢山モデルとして起用したこと。
現代の流行や、それこそ名前通りインフルエンサーの持つ影響力は計り知れないもの。起用する理由は十分に理解できた。

それでもプチ炎上をしてしまうのは、かつての読者が、LARMEという一つのブランドのような雰囲気を求めていたからなのだと思う。
新しい表紙や中身を見て、今までのモデルが築き上げてきたブランドが一掃されてしまったとも捉える人もいるだろう。
今はもう読者ではなくとも、共に育ってきたものが変わっていってしまうのはとても辛くて悲しくて怖いものでもある。

当時、読者でもなんでもなかった私が言うのもおかしいかもしれないが、置いてかれた読者が抱えた「違和感」はここに詰まっていると思っている。

編集者からすれば、求めるのはかつての読者ではなく、現在の読者だ。
悲しいが読者が増えない限り、雑誌は続けていくことができない。

一度休刊しているからこその変化。
そう言われればぐうの音も出ない。
インタビューには、こう書かれている。

休刊という道を選ばねばいけなくなるほど、世の中から求められているものとの乖離があったということが一番の理由です。

リンク先より引用

そもそも創刊したのは私なので、私の手で変えていくことで「誰に何を言われようと、私が作ったものが『LARME』だ」って言うことができる。

同上

しょうがないと言えば、しょうがないのだろう。
編集者が決めたことに、一般人が口出ししたって何も変わらない。
読者として受け入れられなければ、去ればいいだけの話だ。私の知っている時代は終わったのだ、と見切りをつけて。

それでもあの時、可愛い女の子と美しい世界観に魅せられた読者は確実に存在していた。
心を躍らせながら久々に帰ってきた故郷が、何もかも変わってしまったような感覚と言えば伝わるのかもしれない。

まるで古い読者が捨てられたように感じてしまっているのは、私だけだろうか。
私はあの時のLARMEを、この目で見てみたかった。

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栖山 依夜
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