2019年夏カザフスタン・キルギス旅行~アラ・アルチャ国立公園~
同室の驚異的爆音イビキ男のせいで寝不足であったが、本日のトレッキングはとても楽しみであった。気温はさほど高くないが、私が来た数日前までは40度近くまで上がったそうだ。その翌日には、もう夏は終わったとのことだ。標高が高いためか、夏は短いようだ。
〇出発
9時に、アラ・アルチャ国立公園トレッキングのガイドさんが迎えに来てくれた。NHTabi Companyの日本人ガイドT氏とキルギス人ドライバーが来てくれた。公園入口まで道中30分程度の車内では、ガイドさんが日本人ということもあり、話が進んだ。言語に不自由しない場合は、会話のスピードは速いので情報交換量は多いし、詳しいことも聞けるしで楽しく、改めて言語の大切さを認識した。
車は街を出て、草原や畑の間の道路を山に向かってかっ飛ばす。畑では麦が栽培されていた。郊外にはイスラム教式の墓地があり、石やレンガでできた、廃墟になった小屋のような建物がバラバラとゆるやかな斜面に建立されていた。柵もあったような気がする。キルギスでもイスラム教徒が多数派である。
車は一度検問所のようなところで止まり、いくらかお金を払って通してもらう、そこからさらに10分ほど走ると、登山道入り口に着く。ここには小屋や売店、ユルタがある。コインを支払うと使えるトイレもあったが、使えなかった。入り口の両隣には、ヤギ(名前忘れた。。)とユキヒョウの迫力ある像が建てられている。どちらもキルギスの山岳地帯に生息する生物で、ガイドさんは見たことあるそうだ。ユキヒョウは珍しいが、ヤギは斜面などによくいるらしい。
※ユキヒョウ像
※ヤギ像
〇トレッキング開始
この日のトレッキングは、登山口(標高2160m)から滝(標高2665m)までの登り2~3時間コースを予約した。さほど背丈のない針葉樹に囲まれた道を歩く。初めから急斜面が続くが、ほどなくして渓谷の絶景に出会うことができる。急な渓、色の濃い木々、川原の白い石のコントラストが実に美しい。首都から程近いところにこのような場所があるなんて、さすがは山岳国家キルギスである。渓谷を見下ろすところから、渓を見ながら気持ちのいい草原をしばらく歩き、再び急斜面を登ると滝にたどり着く。今回はここまでだが、ここからさらに登ると、4000m峰への登山基地となる小屋につくらしい。
※登り始めてしばらくしたところの風景
※渓谷を一望できる絶景スポットから
〇山野草~日本でもなじみのあるものが!~
さて、ガイドのT氏が先頭きって歩く。しんどい登りもある中、公園のこと、山のこと、植物のこと、動物のことなど、トレッキングしながら色々なことガイドしてくれた。キルギスの文化や風習のことなども、話題が豊富で本当に楽しいし、勉強になった。この数日前にあったキルギスでの政治的暴動の話や、今でも一部行われている誘拐婚の話などが印象的だった。
キルギスの夏は終わったとのことだが、まさにその通りで、標高が高いのもあるだろうが涼しかった。休憩中は半袖では肌寒い。草原は茶色みがかっている。多くの山野草が花を咲かせていたが、日本でなじみのあるものも多く驚いた。リンドウやナデシコなどが花を咲かせていた。それらが夏の終わりをさらに深く印象付けた。
※ナデシコ
※リンドウ(咲きかけ)
※名のわからぬ花
※トリカブト?(ピンボケ)
草原は遠目で見ると茶色だが、花は多い。あまり目立たないが小さな花がそこら中に咲いていて心が癒される。あまり詳しくないのが残念だ。ハーブも何種かある。
※草原
〇樹木~アルチャ~
樹木は、トウヒ属の針葉樹が多いようだが、何より有名なのは公園の名前にもなっている「アルチャ」という希少な針葉樹である。淡いが濃いめの緑で、枝と葉が細かく、まるで「モリゾー」や「キッコロ」のような体形である。キルギスでは保護の対象となっている種だそうだ。他にはヨーロッパアカマツと思われるものが麓のほうに生えていた。
※アルチャはこれだったかな??
※これがアルチャの葉だったような
※このオレンジの実はあまりおいしくなかった。
〇滝へ到着
滝に近くなると遠くに高い山々が美しく見える。登山道は軽装備のトレッキングの人の他、デカいザックを背負って先へ先へ登っていく、本格的な登山者も多くいる。小屋を起点としてクライミングなど楽しむのであろうか。私もいつか行ってみたい。
※この頃はガスってたが、、滝を望む。
滝へたどり着くと、小雨が降ってきた。ガイドさんはビニールの雨がっぱを用意してくれていて、それを着用した。だいぶ肌寒くなってきた。ロシア人の元気な登山集団がおり、リンゴを一つ放り投げてくれた。日本人グループもおり、なんと前日にアルマトイからの乗り合いタクシーで一緒だった社会人もいた。
ツアーには昼食のサンドイッチが付いている。キルギス市内のカフェで作られた、具沢山のおいしいサンドイッチだった。しっかり休み、滝で写真を撮ってもらって帰路に就く。
※滝
帰路は、斜面が滑ることもあり(一度転んだ)、ゆっくり降りてきた。相変わらずガイドさんは色々教えてくれ、私の質問にも丁寧に答えてくれた。おかげで全く飽きない、充実したツアーになった。
※帰り道を望む
〇ナキウサギ
一度沢を渡るのだが、そこでT氏と岩に座ってタバコを吸いながら休んでいると、突然T氏が「しっぽのないリスがいる!」と言ったので、見てみるとナキウサギのような動物がチョロチョロと近づいてきた。私はナキウサギは見たことがなかったが、ずっと見たいと思っていた。北海道ではよく鳴き声は聞くが、警戒心が強いのでなかなか姿を現さない。だから近づいてきたことには大変驚いた。写真を何枚か撮る余裕もあった。ガイドさんも初めて見たようだ。毎回のように見るというリスやヤギは見られなかったが、代わりにとてもレアなものを見ることができた。リスは松ぼっくりの食痕(エビフライ)を見つけることはできた。
※ナキウサギ
※リスの食痕(松ぼっくり)エビフライ
〇ユルタでクムズ
登山口まで降りてきて再びタバコを吸いながら休憩した。ユルタ(遊牧民の移動式住居)に案内してくれ、中にいた人にクムズと呼ばれる馬乳酒を飲ませてもらった。馬乳を攪拌しながら発酵させた飲み物で、非常に健康に良く、キルギス人はこれを飲んで病気を治すそうだ。ちょっと獣臭い香りがあるが、程よい刺激酸味があって、普通に飲める。
※ユルタ内部
※クムズ(馬乳酒)
さて、車に乗ってビシュケクに戻ってから、T氏にバザールでの買い物や夕食をご一緒していただいたが、それはまた次回。
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