この世界は生きやすく、優しく変化している。息子、歯医者へ行くの巻
息子がついに歯が痛いと言い出した。
わかっていたのだよ。この日が来ることは。
虫歯を発見した時、私はうかつにも息子に対して
『あ、これ虫歯かな。』と言ってしまった。
それからというもの息子が口の中を見せてくれなくなってしまった。
仕上げ磨きが出来ない日々。
まあいいんだけど。
私の妹は息子たちの歯磨きに気を遣っていて、
いまだに一本も虫歯になっていない。
すごいなぁ。ほんとにすごい。
でも、たぶんうちは無理。
息子がまず無理。
そして私もムリ。
で、こうなった。
息子が歯が痛いと言い出した。
わかっていたよ、こうなることは。
ごめんね息子。
私は恐ろしく頑固で、恐怖心が強くて、感覚過敏の息子の口をこじ開けることのできない母なのだよ。
トラウマになるくらいなら全身麻酔で知らないうちに治ってたって方法を選ぶよ。
というわけで、息子の発達外来の主治医の先生と相談の上、先生にに歯科の予約を取ってもらい、歯科の受診を来週に控えていた矢先。
歯が痛いよぉと言い出した。
あと、あと一週間なのにー。
総合病院の歯科は緊急の駆け込みは受け付けていない。
私は近くのキッズデンタルクリニックへ電話をした。
そして、
一部始終を話した。
感覚過敏で音とニオイがだめなこと。
発達的特徴、
恐怖心が強いこと、
モノにつられないことなどなど。
ご褒美的なのも無理なこと。
で、私も無理に口をこじ開けなかったことを話した。
正直マジで怒られるのを覚悟して言った。
私の母は昔、実際にこっぴどく歯医者さんに怒られた経験がある。
その横にいた私はそれが本当に怖かった。
そしたらそこの歯医者さんは
痛みがあって心配だろうからいったん受診してみましょうか。
と優しくいった。
先生はお休みだけどわざわざ出てきてくれるという。
実際にそこのクリニックへ行ってみると
なんと、遊園地か?ディズニーランドか?ってくらいの設備。
す、すごい。
室内には二階から一階へと滑り台がぐるぐると設置されている。
壁から天井から絵が描かれている。
すごい。徹底している。
そして、待合室に先生がやってきた。
「せいちゃん、こんにちわー。」
まずこの時点で下の名前を呼ぶのがすごい。
息子と先生はこの遊園地(歯科)のどこが好きかをお互いに発表し合ったりしてお話をする。
そして二人で診療室に入っていった。
すごない?
歯医者さんが患者さんを待合まで迎えに来てくれて雑談しながら診療室へ連れて行ってくれる。
すごない?
ここはディズニーランドか?
歯医者さんはディズニーランドのキャストさんか?
診察室へ入った息子は色とりどりの診察台の中からブルーを選んだ。自ら選んだ診察台だから当然乗ってみたい。
寝転んでみたら息子の目の前に息子の大好きな鏡があった。
「セイチャンのお口の中もこれで見れるんだよ」と先生が言うと息子は口を開けた。
おおおおーーー!
息子が歯医者さんの診察台の上で口を開けている!
しかも自ら!
なにこれ。
すごない?
でも、歯医者さんは息子が口を開けたからと言って、
「今だ!」とばかりに治療には取りかからない。
ただニコニコその様子を見ている。
そして息子に「せいちゃん、私がせいちゃんのお口の中にこの小さい鏡を入れて歯を見せてもらってもいい?」ときちんと断りをいれた。
「ヤダ。」と息子。
だよねだよね。
ここで「いいよー!」なんて出来すぎだよ。
先生は
「わかったよ。じゃあまた今度せいちゃんが良いときに見せてね」と言った。
これで今日は終わりまーす。
と先生。
え?終わり?
そして先生と私のお話タイム。
息子は歯科助手さんと一緒に院内探検に出かけていった。
「せいちゃん、すごいですね。診察台に寝てお口のを開けられましたよ。
ここでは無理やり治療はしないんです。徐々に治療器具に慣れていってもらうように段階を踏んでるんです。」と言って、シール帳を見せてくれた。
·お口の中に風を当てる
·お水が出る器具でお口を洗う、
·バキュームでお水を吸う、
·レントゲンを撮る、などが段階になっていて
できたらシール帳にシールを貼っていく。
いつの間にか治療ができる自分になっている。って仕組み。
すごない?
一週間後に総合病院で治療があるがそれまで持ちこたえられなかった場合のお守り代わりのお薬を処方してもらった。
なんてこった。
素晴らしい。
歯科医院を出た息子は、
「楽しかったね!」と言っている。
息子が、、歯科医院なんて絶対にやだ!と言っていた息子が楽しかったと言っている。
安心した。
私は怒られると思っていた。
そんな私に先生は
「お母さんよく息子さんを連れてきてくださいました。大変だったと思います。」とねぎらいの言葉をかけてくれた。
この世界はとても優しく生きやすく変化している。
間違いない。
あー、嬉しい!
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