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イワシとわたしの人 vol.2 撮る人:脇中楓

下園薩男商店が運営するイワシビルの商品と、こんなことがあったかもしれないお話をオリジナルの短編小説として連載する、「イワシとわたし」の物語。

新シリーズ「わたしと山猫」の物語の連載開始を記念して、イワシとわたしを作り上げる「書く人」「撮る人」「読む人」の3人にフォーカスを当てたインタビュー企画「イワシとわたしの人」。

第二弾は「撮る人」です。

「撮る人」は、2022年8月に入社した撮影担当の脇中楓さん
イワシとわたしが入社前の2021年3月に始まってから担当しています。

今回は、イワシとわたしの撮影をするようになった経緯や脇中さんの撮ることへの想いについてお話を伺いました。

「イワシとわたし」を撮る人:脇中楓

鹿児島県阿久根市の隣、出水市在住の脇中さん。
イワシとわたしが始まった当時はまだ社員ではなく、イワシビルの利用者でした。

「イワシビルには最初、プライベートで来ていて。しかも、名物のたい焼きを食べるとかではなく、撮影だけのために。室内撮影ができるところを探してたんです。イワシビルのスタッフとInstagramのDMでやりとりして何回か撮影でホステルを使ってました」

利用者から専属カメラマンへ

イワシとわたしvol.1「港町で出会った女の子。」の写真

イワシビルで初めて撮影をした一か月後、イワシとわたしのカメラマンをしないかと脇中さんに声がかかりました。
当時は不安だったといいます。

「なんで私なんだろうって。私の写真は身内や友達がほとんどで趣味で撮影してたんです。たまにインスタのフォロワーさんから撮影依頼があるくらい、前職でもメニューの撮影していたくらいで。
それに、個人からではなくて企業からの依頼は初めてで本当にどうしようって思ってました」

頼まれた当時、引っ込み思案な性格だったという脇中さん。
不安で受けるかどうか悩んでいるところ、相談していたパートナーから背中を押され依頼を受ける覚悟を決めました。

「最初は、文章を担当している橋口さんもいなかったし、物語の内容も把握していない状態だったから、いつもの撮影の感覚で撮らせてもらいました。
社長からはいつもの写真でいい、例えば、顔にシールもつけていいって言ってもらっていたものの、本当に自分の感じでいいのかなあって思ってました」

―自分の色を出すか迷っていた最初に比べて今はどうですか?

「最初からするとだいぶ変わったと思います。ちゃんとコンセプトを分かったうえで撮れるようになったかなと。
今は橋口さんと二人三脚。あくまで文章がメインで物語だと思うから、今は添えの写真という意識で撮ってます。物語からずれないように。でも、私らしい写真は撮りたいとも思ってます」

これまで一枚で完結できる写真が多かった脇中さんが語る「添えの写真」。
その一枚に続きがある写真、その瞬間だけでなくその瞬間の続きも切り取ることを意識していると言います。

写真を撮り始めたきっかけ

中学生の頃から写真を撮ることが好きだった脇中さん。当時は風景を撮るのが中心で、船から波の写真を撮るのがとても好きでした。
高校に進学すると撮るものが風景から人へと変わっていきます。

カメラで残しておきたい

「自然体で、日常を切り取る。華のJK時代を残しておきたかったんです。じゃないと誰も思い出せない。目に見えるものがなくなってしまう」

高校生の今しかない瞬間を残しておくために、当時は自撮りにはじまり、お揃いのメイクをしたり、友達とジャンプをしたりと青春らしい写真をスマホで撮っては残していました。
脇中さんがカメラを手にしたのは、高校卒業後、ミラーレスの一眼レフが流行り始めた頃。

「カメラを持ち始めるのが自然になってきていたときで、周りも持ち始めていたから使ってみたら、とてもいいし、楽しいし。カメラはそこからでした」

カメラでシャッターを切れば切るほど、その魅力にずぶずぶとはまっていきました。
カメラを持ってからも、脇中さんは「撮りたい」より「残したい」という想いが強かったといいます。

「忘れちゃうのが嫌で。記憶力がいい方ではないし、聞いて覚えるよりも見て覚える方が得意だから、見て、こういうときもあったなって思い出すんです。その一枚が全部を思い出させてくれる。

私にとっては、持っているのがカメラってだけで当たり前になっていったんです。みんなが遊びに行くときにゲーム機やスマホを持っていくのと同じように。私はそれが、カメラだったってだけなんです。

買い物に行くときも持っていきます。絶対使わないって思っても、スマホでも撮れるけど、残したいと思ったときに残せないんじゃないかっていう不安があるから、カメラを持っていきます」

日常の切り取りからはじめ、Instagramでも投稿するようになると、少し日常から飛び出して、よりモデルっぽく、時には意識的に格好つけたり、リボンなどの小道具を使っての撮影も楽しむようになりました。

日常撮りも作品撮りもどちらもやってみて、脇中さんは飾らない日常を撮るのが好きだと感じるようになります。

「日常をフィルムでも撮りたいですね。日常の他愛もないようなことって撮らないと覚えてないじゃないですか。だから飾らない日常を、私が切り取りたい瞬間に切り取りたいなって思います」

私にとってのイワシとわたし

イワシとわたしは”私の幕開け”

「イワシとわたしの撮影はすべてが急展開だったけど、私の幕開けでもあったと思った」と語る脇中さん。

「私は表に立つ人じゃないと思ってたから。でも、今は私の名前でカメラマンとしてやっている。私もちゃんと舞台に立つんだって感じました。そこから幅が広がっていくと思ったし。そう思うと、この舞台に上らなきゃって思いました。
だから、イワシとわたしは私の背中を押してくれる存在です。

イワシとわたしがなかったら、私は名前をいっぱい見てもらえることもないだろうし、友達だけの内輪だけの写真で終わってたかもしれない。
ここで撮影することで私は趣味じゃなくて、ちゃんとカメラマンでいれるように思います」

仕事であり出会いの場

―イワシとわたしで好きな部分はなんですか?

「人と出会うことですね。イワシとわたしは撮影ではあるけど、出会いも大切にしています。
新しい人と出会えて写真が撮れて、いい環境だなって思います。こういう機会じゃないとないじゃないですか。だから、まず出会いに感謝しています。引っ込み思案な私に、人と出会ってつながれる環境を作ってくれたのはイワシとわたしですから」

―イワシとわたしでここは大変だなっていう部分ありますか?

「イワシとわたしのカメラマンは自分しかいない。写真一枚一枚のピントはもちろん、コンセプトをしっかり意識しながらの撮影はやっぱり大変だなって思います。

モデルさんは、経験者だけでなく未経験者もいるし、実は写真が苦手ですって人もいます。その人の魅力はまずカメラマンの私が自己開示しなきゃ安心して出せないので、コミュニケーションをとりながら臨機応変にやっています。

あとは自分のコンディションですね。プロはいつどんなときでも変わらずに撮れるのが当たり前だけど、私はまだ気持ちに左右されるときがあるので、心身ともに整えたり、自分の中でスイッチを切り替えるようにしています」

撮影中、カメラマンとして、シャッターを切るだけでなく、自分自身にもモデルさんにも目を向けながら微細な雰囲気を捉えてレンズを向けている脇中さんの細やかな気配りが、あの透き通るような写真を生み出していました。

新舞台「山猫瓶詰研究所」も加わって

―今後、イワシビルの商品だけでなく、新店舗の山猫瓶詰研究所も加わりますが、どう感じていますか?

「いつもそうなんですが、新しいことを始めるのに気持ちがついてこないってことがあるんです。体は動くのに引っ込み思案で気持ちがついていかない。だから、動いていても不安だし、その場に行かないと分からない。不安で逃げたくなるときもあるけど、楽してばかりだと自分がだめになるし、もったいないとは思っています。

だから、楽しく撮ることを大切に、これからもいろんな人と出会いながら技術を高めて、もっと幅を広げていきながらイワシとわたしと一緒に成長していきたいなって思います」

おわりに

新舞台―山猫瓶詰研究所「少女が踏み入れた秘密の場所」より

線画に色を落としていくように、イワシとわたしの物語に彩りを加える脇中さんの写真。
その一枚一枚は、現状に満足することなく、ひたむきにカメラと向き合う脇中さんだからこそ生まれるものなのだと感じました。

その瞬間を残したいという想いと物語に添わせる撮り方。

新しい出会いと挑戦の中で、ますます脇中さんの魅せる写真とイワシとわたしの化学変化が今後もどのような形で現れるのか。

これまでのイワシとわたしを知っている皆様も、この記事をきっかけにイワシとわたしを知ってくださった皆様も、今後もイワシとわたしを彩る脇中さんの写真をお楽しみに。

撮影・執筆:橋口毬花


これからもイワシとわたしをよろしくお願いします。
これまでの物語はこちらから。

イワシとわたしの物語

新シリーズ わたしと山猫の物語


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