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自分の機嫌との付き合い方
今回、お話を伺ったのは、仕事をしながら創作活動もしている橋口悠花さんと橋口彩花さん。
2月に公開されたイワシとわたしの物語vol.17「たい焼きを食べる、旅に出る」のモデルをしていただきました。
イワシとわたし モデルvol.17 橋口悠花・橋口彩花
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普段は、和菓子屋で販売・製造スタッフとして働きながら、プライベートでは木彫りをしている悠花さん。彩花さんは染物屋で働きながら、プライベートでは、てしごと作家として活動しています。
そんな二人に普段大切にしていることを訊くと、共通していたのは「自分の機嫌との付き合い方」でした。
悠花さんは「嫌な気分で眠らない」ことと「家に帰るときに嫌な気分を持ち込まない」こと。
彩花さんは「自分の機嫌は自分でとる」ことと「どうせやるなら機嫌よく」すること。
普段から大切にしている自身の機嫌との付き合い方をそれぞれ深堀りしていきます。
橋口悠花の場合
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「嫌な気分で眠らない」・「家に帰るとき嫌な気分を持ち込まない」わけ
「常に自分が心地のいい感覚でいること、自分が自分に正直でいて、フラットな状態にしたいんです。無意識にそうしている部分はあって、それが嫌な気分で家に帰りたくないとか、眠らないに繋がっています。
嫌な気分でいると、嫌じゃないですか。それに、家は主観的になるところだと私は思うし、人の目がないから客観視ができない。主観的だとどうしても感情が強くなって、事柄を冷静に考えられなくなるし、嫌な気分の問題が分かりづらくなる。だから、家には嫌な気分は持ち込みません」
―嫌な気分を持ち込まないためにしていることは?
「嫌な気分は何もしなかったら継続する。たとえば、落ち込むのはどう足掻いても悩んでも解決できない。何かしないと。
だから、落ち込んでしまったときとか、何とないのにイライラしているなってときは、車でちょっと帰り道に遠回りをして掛けているCDの曲が終わったら家に帰っています。
それでも、駄目だったら、いつもは帰り道では絶対に寄らないとこに行ってみます。たとえば、コンビニで肉まんを食べてみたり、喫茶店でコーヒーを一杯飲んだり。そうしたらいつの間にか、そのことに集中していつの間にか嫌な気分を忘れる。
こうすることで、何がこんなに嫌だったのか、イライラしていたのか冷静に考えられるようなる。そのときに、こうしたら問題ないって解決策に気づけます。
それでも、どうしてもその嫌な気分を家に持って帰らないといけないときもある。
これは、眠る前に繋がるんですけど、そういうときは絶対に無音の中で作業をしない。音楽や動画を流すと自分の気分が紛れる。そうして、その事柄を忘れるんじゃなくて、気分をいったん忘れるようにしています。冷静になったときに普通に考えられるようになるので」
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感情より冷静さは自分の感情を正しく受け取るため
「自分の感情正しく受け取らないといけないと思っています。
たとえば、涙が出るのは、辛い・悲しい以外にも理由があると思ってて、何が嫌だったのか、何が駄目で自分はこんなに気分が沈んでいるのか、掘れば、その感情のトリガーになっていたものが凄くシンプルなものとして見えてきます。
でも、そこを正しく見極めないとずっと悶々とする。
ただ、原因は難しいことをしないと取り除けないわけじゃない。だから、いったん嫌な気分を忘れて、冷静になってから自分の感情を正しく受け止めて、あと直感を信じればある程度短時間で自分の機嫌は取れます」
感情の対処は直感で
「嫌な気分のトリガーは考えるけど、あまり分析はしません。結構直感。基本的に深く考えるとドツボにはまるし、こっちの方が、いや、あっちの方がと考えるのが面倒くさい。だから、直感です。
思考するときは、零点何秒でできる。頭の中で、問題に対してこうだね、ああだね、いや違うなって。自分の中で答えが出たなら、それに従おうっていう。それ以上は考えない。それが、自分の感情に正しく、正直に受け止めることになると思うんです」
―直感で判断できないもの、すぐに解決できないものはどうしているんですか?
「迷っているのが面倒くさいので、基本はどんどん直感に従って解決していくんですけど、そうできないもの、自分だけじゃ判断できないものや長期で悩まないといけない、人が関わっているものももちろんあります。
そういうときは、自分の頭の中に”ちょっと置いとこボックス”っていうのがあるんですけど、そこにいったん入れて遠くから俯瞰します。ずっと抱えて悩みたくないから」
自分の感情が一番心地いい場所にいるためのライフハック。
それが、嫌な気分で眠らない、家に帰るときに嫌な気分を持ち込まない。
そんな悠花さんが、自身ののライフハックを使いながら、大切にしていきたいのが「見えないところのケア」でした。
見えない部分を労わる
「見えないところこそしっかり。いの一番に大切にケアしていかなきゃと思います。見えないところこそ。指切ったら絆創膏を貼れるじゃないですか。見えるから。見えないところはどういう状態か分からない。だから先に応急処置をする。そうすることで引きずらないで眠れるから。
些細なことと思っても、自分の感情は大切に労わっていこうと思います」
詰まることなく、淡々と言葉を並べる姿が印象的だった悠花さん。自分の中での明確に確立されていることがひしひしと伝わる今回のインタビューで、自分との向き合い方のヒントが見えてきたように思います。
橋口彩花の場合
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「自分の機嫌は自分でとる」・「どうせやるなら機嫌よく」なわけ
「きっかけは、高校入学直後、担任の先生がHRで話してくれたことなんです。それが、”自分の機嫌は自分でとる”と”どうせやるなら機嫌よく”でした。当時、その言葉をメモしたことも覚えています。それから意識するようになりました。
落ち込んだり、しんどかったりしたときでも口角だけはあげとく。ニコッと笑うよりは、ふっ、と微笑むくらい。そのくらい上げるだけで気分が上向きになる感じがします。そうして自分の気持ちができるだけ上向きになるように意識しました。
生活する中で、もちろん落ち込むこともたくさんあったんですけど、それを外に出て引きずらずに誰に対しても笑顔で接することができるようになりました。
高校時代、私は美術科にいて好きなことをしていたけど、その好きなことをやるために特に好きでもないこともしないといけなかったり、考えないといけなかったりする。でも、やらないと進まないし、やらないといけないときに、だるいわって思うんじゃなくて、どうせやるなら楽しく、機嫌よく。楽しめるマインドというか、嫌な作業だから嫌な気持ちはあるけど、どうしたら自分が楽しくできるかを試行錯誤した高校三年間でした。
宿題一つにしても嫌だから、ご褒美を決めたり、BGMをかけながら作業してみたり工夫していました」
―意識して変化したことは?
「進学したときに、いろんな人から自分の第一印象が”いつも笑っている人”だと言われたんです。笑ってないとこを見たことがない。泣くことあるの?怒ることあるの?って言われたのが、凄く印象に残っています。小中学生のときはどちらかというと女子にも怖い印象を持たれていたので。口角を上げるようになって、自分の気分も上向きになって余裕が持てるようになったのかなって思います」
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口角を上げるのは「大丈夫だよ」のおまじない
「口角を上げるのは、”自分は大丈夫だよ”って自分に言い聞かせて落ち着かせるものなんです。私にとってのおまじない。
でも、おまじないなんです。万能ではない。口角を上げるだけでは、気分は上向きになるかもしれないけど、体がついてきていないこともあります」
自分の心と体の機嫌をとる
「仕事でも作家活動でも、自分の好きなことをさせてもらっていてる中で、モノづくりの作業は仕事が終わってからや仕事がお休みの日に十何時間と作業をしています。でも、それは自分が休まっていないってことに、体に不調が出て気づいたんです。風邪をひくことが多くなって、病院でお医者さんに診てもらっているときに、休みの日はモノづくりをしていますっていう話をすると、休んでます?って言われて、それでハッとしたんです。
好きなことをしている、でもそれは作家活動でもあって、自分の体にとって休みになっていない。ノンストップで自分は動いていたことに気づきました。なので、仕事も作家活動のことも考えない、関連しないような趣味を組み込もうと思って、ピラティスとサウナを始めました。休みの日を意識的につくる。私の場合、月曜日は何も作らない、映画を観たり、漫画を読んだりするただインプットの時間。その合間にピラティスやサウナでリフレッシュする時間も。それからより自分の機嫌を、心だけでなく、体の機嫌もとれるようになりました」
機嫌をとるための”NO”
「社会人になって一年目は、自分はもっと詰め込まなきゃと焦っていました。いろんなお誘いにも、自分が気になるところにも全部行っていた。でも、自分の体も大切にしなきゃと思えるようになって、自分に”NO”が言えるようになってきました。今回は見送ろう、今ここまで詰め込んだら大変だよって。自分にも人にもいい意味で”NO”が言えるようになったのは大きいです。
今やっとバランスよくコントロールできるようになってきて、その中で作家としてお声掛けいただく機会も増えて、とても嬉しいけど、また詰め込みすぎて戻らないように。準備期間を考えずに出ますって言ってしまって、クオリティの低いものを出してしまうことがないように気をつけていきたいと思っています」
インタビュー中も常に口角を上げながら話してくれた彩花さん。彩花さんのアイデンティティとも言えるやわらかい笑顔には大切な想いが込められていることを知りました。
きっとこの笑顔や彩花さんが手がける作品がいろんな人を笑顔にするんだと感じました。
2人の活動
悠花さんと彩花さんの活動はInstagramから覗けます。
悠花さんはziku工房という名前で活動中。
独自の世界を物語に木彫で表現しています。
時折公開される木彫り動画の心地の良い木を削る音は癒しにもなります。
彩花さんは、針衛門という名前で活動中。
ぬいぐるみをはじめ、イラストや刺繍など、彩花さんのてしごと作品が見れます。可愛い作品に口許が緩むこと間違いなしです。
撮影地:イワシビル
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今回の撮影地はイワシビル。
朝日を浴びながら、焼きたてのお皿で食べるたい焼きを食べながらの撮影でした。
オフショット/撮影後記
イワシとわたしの物語vol.17「たい焼きを食べる、旅に出る」ができるまでの撮影の裏側。
”ここだけの話”をちょこっとだけご紹介します。
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たい焼きが来て、嬉しくてつい拍手してしまう二人。行動がシンクロしています。
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それもそのはず。物語では姉妹として登場した二人ですが、実際も姉妹で、三つ子。書き手橋口の実の三つ子の片割れです。
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たい焼きが来ても、すぐに食べられないのが、撮影現場。
まずは物撮りしますと「待て」される二人。
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単品撮りで更に「待て」。
実は、カメラマンと書き手もずっと食べたい。
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たい焼きを食べる瞬間を撮りたくて、実はこの状態でも「待て」されています。
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中から出てきた白玉を見せつける彩花さんと見せつけられる悠花さん。
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ネイルが可愛い彩花さん。実は、前日に仕事の染め物で指先が真っ赤になってしまったためのカモフラージュなのだとか。実際に見ると職人の手でした。
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食べる前の話。「たい焼きはどこから?」
悠花さん「しっぽから」
彩花さん「背中から」
「背中?!?!」
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たい焼きはつぶあんと抹茶白玉。
お互い、あーんとさせながらおすそ分け。
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彩花さんが提げているバッグ。実は、彩花さんの手作りマンドゥーバッグ。
大晦日の晩に編みはじめ、年明けとともに完成させたもの。
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満面の笑みですが、中身は空。フィクションである儚さを感じます。
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撮影前、イワシビル来店したての様子。緊張と楽しみとでの髪の毛が浮ついています。
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イワシビルを見つけて指を指すシーン。
指示通りに指を指す悠花さんと全力で指を指す彩花さんは両手。
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塩クリームをつけるシーン。この塩クリームがとてもたい焼きに合うのです。塩クリームはイートイン限定。絶対にイートインで食べてほしい。
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「待て」からの「よし」はあっという間。塩クリームも綺麗に使い切りました。
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「なくなってしまった…」としょんぼりお皿を見つめる二人。美味しいものはどうしてこうあっという間になくなってしまうのか。
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外でも撮影。天気がこの日はとてもよく、青空が気持ちの良い撮影日和でした。
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観光客っぽく、イワシの看板とも記念撮影。
たい焼きも食べてご満悦です。
以上!オフショットでした。
noteに載せきれなかった写真は、イワシとわたしのInstagramに毎日掲載していきますので、チェックしてみてくださいね。
悠花さんと彩花さんが務めた物語は、こちらから読めます。
イワシビルのたい焼きが気になる方は、イワシビルのInstagramをチェック!
最後まで読んでくれてありがとうございます! サポートももちろん嬉しいですが、アナタのスキが励みになります♡ これからも、イワシとわたしをよろしくお願いします!