「いつも」を変えたい彼女の朝【イワシとわたし 物語vol.3】
一日の気分はスタートが肝心。
朝は気持ちよく過ごしたい。
おしゃれでかわいく心ときめく空間を簡単に。
ひらめいた彼女は棚にしまってあった一つの小瓶に手を伸ばした。
一日の気分は、スタートが肝心。
彼女のモチベーションは朝で決まる。
そうとなれば、朝は気持ちよく過ごしたい。
朝食はおしゃれにかわいく。
映画のワンシーンのように心ときめく空間がいい。
しかし、凝った朝食をつくれるほど、
朝というのは彼女に時間を与えてはくれない。
それに、朝から調理器具を使うのも、正直面倒くさい。
彼女は一つひらめいた。
棚にしまってあった小瓶を一つ取り出す。
地元土産として買っていた塩みるくバター。
マンネリ化しているジャムは冷蔵庫で休戦。
いつものパンに今日はこれを使ってみようか。
さっと塗って頬張る。
バタークリームの塩味に手を引かれ
脳裏に阿久根の港町が広がった。
じゃりっとした食感が昔のときめきを誘う。
学校帰りにパン屋でじゃりパン買って
友達と恋バナに花咲かせて。
懐かしさに口許が緩んだ。
今日は、本でも読んでみようか。
積んでいた本にも自然と手が伸びた。
ないはずの時間がゆっくりと流れていった。
彼女のモチベーションは朝で決まる。
今日は絶対いい一日になる。
彼女は目を輝かせた。
あの頃を運ぶ
いつもと違う朝になる。
撮影：こじょうかえで Instagram(@maple_014_official)
衣装協力：LIZE Instagram(@0811lize)
文章：橋口毬花 (下園薩男商店)
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