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褒めスキルの前に、過程を知る 【 図解 】

■ 参加するCOMEMOテーマ企画

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■ 褒めスキルよりも、過程を見る

1 直接、みること(子育てからの気付き)

 ビジネスの話の前に、少し我が家の話を書きます。子どもが何か新しいことをできるようになった時、私はこんな言葉を使います。

「すごいじゃん!」

 しかし、この言葉を発すると、途端に子どもたちが「はぁ、またパパのすごいじゃんだ。」とため息をつきます。

 一方、妻はどうかというと、やはり「すごいじゃん!」と言います。そして、その後に「今までこうだったからね、あ~だったからね」と誉め言葉を続けていくと、子どもたちはみるみるキラキラ笑顔になり、彼女らの周りには、ポワポワンとしたお花やキラキラ星のエフェクトが追加されます(同時に私の背後にはドヨヨンと垂れ線が伸びてきます)。

 この差は、褒め方(褒めスキル)の差もありますが、それよりも結果までの「過程」を見ているかです。相手の取組みをよく知り、何を努力し、何を褒めてほしいか、何を認めてほしいかを知っているかの差です。

 我が家の「すごいじゃん」を図解してみました。

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 私の「すごいじゃん!」は『知らぬ間にそんなことまでできるようになったんだ』という驚きが生み出すもの。

 一方、妻の「すごいじゃん!」は『毎日何回も練習してやっとできるようになったね』という共感や感動が生み出すもの。

 私もどちらかといえば陽気な父親ですし、ハイテンションは得意です。やはり、褒め「スキル」ではなく、褒め「過程」こそ大切なのかなと思います。

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2 間接的に見ることもできる

 先程の「すごいじゃん!」事例は直接、子どもの取組みをみてきたかという内容でしたが、間接的にも相手を見る、知るということはできます。

 例えば、昔も今も人気なテレビ番組に「メジャーデビューを目指すオーディション番組」があります。図解してみます。

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 努力の過程を見せることで、共感や感動が生まれ、ファンができます。通常、デビュー前に公開されない努力や成長過程の部分を知ってもらう。この演出は、会社経営の中でもヒントになると思います。

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3 リモートとインフォーマル集団(活動)

 テーマ企画のお誘いにこのような文言があります。

「インフォーマル集団の衰退」
インフォーマルに人々が交流し、お互いの理解が進むと、フォーマルな組織(会社)おけるコミュニケーションも円滑に進むようになります。なぜならコミュニケーションの基盤は相互理解にあるからです。コミュニケーションは公式なルートよりも、こうした非公式なルートに依存しているといいます(テーマ企画より引用)

 我が家の家族の例は、私の完全な過失です。フォーマルもインフォーマルもなく、家族ですからね。反省点を箇条書きにすれば、

【 すごいじゃん、への反省点 】
・仕事中心だった
・家にいるときも子どもの様子を真剣に見ていなかった
・間接的にも成長過程を知ろうとする動きがなかった(妻に聞くなど)

 妻にダメ出しされて、思い返してみるとハッとします。例えば、この反省点を内容はそのままに、「子」を「社員」に当てはめて並べてみると、

【 職場環境への当てはめ 】
・自分の仕事に集中していた
・社員の様子を真剣に見ていなかった
・間接的に成長過程を知ろうとする動きがなかった

 根本は「相手を思っているかどうか」という点なので、きれいに当てはまります。

 子育てでも部下への対応でも「結果ではなく、取り組みや努力を褒めましょう」と言われますが、それは褒める手法の「コツ」や「スキル」ではなく、取り組みや努力を褒められる状況を作るということだと思います。

 では、過程を見るためには何をすればよいでしょうか。

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■ 褒め「過程」を知る環境をつくる

1 直接、褒め「過程」を見れる環境をつくる

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2 間接的に、褒め「過程」が伝わる環境をつくる

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 私は飲みニケーション大好き人間なので、相手を直接的にも間接的にも知る場としては飲み会でした。直接話せば、何に頑張っていて、何に悩んでいるか分かる。また、その場にいなくても「A君は今、こんな意識で取り組んでいて…」と情報を共有できました。

 しかし当たり前ですが、飲み会が全てではありません。例えば、紹介されている記事のピアボーナスなどはモチベーションの向上だけでなく情報の共有という意味でも打開策の1つだと思います。インフォーマルな場で飲みながら~よりも、オシャンティーですね。

 SNSなどで社内報を共有したり、部活(〇〇部)のような動きを作れば、情報の共有だけでなく交流も生まれるかもしれません。そうすれば「あの人面白いね」「こんな取り組みをしてきたのか」と、褒め「過程」を知るきっかけになります。

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■ そもそも、褒めるって必要か


1 企業文化によって異なる

 ここまで、相手をよく知ること、情報を共有したり繋がることを書いてきました。しかし、この点はそもそも賛否が分かれると思います。

「会社にそういうのを求めていない。」
「自分の時間を大切にしたい。組織どうこうよりも個を高めたい。」
「あまり会社の人と交流したくないし、褒め過程とかうっとおしい。」

 こんな感想の方も多いと思います。褒めるって上から目線な感覚ですし、それを求めていない人もいるかもしれない。

 褒めるって必要だろうか。

 この答えは「企業文化(風土)」をどうしたいかによると思います。

 我々は戦う集団だ、スペシャリストだ、と個々の能力を最大の武器として成長しようという企業理念であれば「褒め方」の話は不要でしょう。褒める褒められるという構図は、雇用関係によっても変わります。ジョブ型雇用であったり、正社員ではなくフリーランスなどへの仕事を増やしていく方向性であれば、「褒める」ではなく正当な「評価」こそ重要です。

 逆に、会社は家族だ、チームだ、と繋がりに重きを置く理念の会社もあります。例えば、私も小さな会社の経営陣ですが、当社の目指すべき企業像は人を大切にする会社です。高度な専門家集団を目指してはいますが、最大の目標は生き生きと働ける場を作ることです。そして、企業理念を検討する際に、以下のような本を参考にしています。

人間の幸せは、「人に褒められること」「人に必要とされること」「人に喜ばれること」「人に愛されること」の4つ。
(人を大切にする経営学講義,坂本 光司,PHP研究所 (2017)66頁)
社員のモチベーションを高めるには、人をとことん大切にする正しい経営を実践することが重要である。もっとはっきり言えば、社員やその家族をはじめとする企業に関係する方々が「自分たちは大切にされている」と実感する経営を実践し続けることである。(同書82頁)

 このような理念を掲げるのであれば「褒める」「必要とする」という行動は必要というよりも必然的なものになります。

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2 企業理念の共有

 企業理念で最も重要なことは、経営者だけでなく、社員が理解し、共有していることです。会社が求めていること、社員が求めていることがズレていれば、何を見て、何を評価し、褒めるか褒めないかのミスマッチが生じます。

 とある会社では、社員50名全員で「こんな会社にしたい(こんな働き方をしたい)」という意見を出し合い、それぞれの要素を詰め込んだ社訓を作ったという話を聞きました。トップダウンではなく、みんなの会社だという取り組みの1つで、実際に掲げられているものを見せてもらいました。ちょっと変な言い方ですが「褒められる側」も「褒める側」もギャップがなくなり、ナイスアイデアだなぁと思いました。

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3 褒める前に認めることも

 最近、社員のメンタル不調に関する相談が多いです。

 常に感染への不安がある、息抜きができないなどの社会情勢もありますが、私は「社会的欲求(帰属欲求)」が満たされない事も原因の1つではないかと感じています。

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マズローの欲求段階説

 上記図の所属と愛の欲求:社会的欲求の中にある「帰属欲求」。

 交流不足により、褒められたいという「承認欲求」以前に、会社の一員であり、必要とされているという段階ですでに自信を失っているケースも多いのではないかと感じます。「すごいじゃん!」を投げかける前の段階でも「頼りにしているよ」という一声が伝わる取組みが必要かもしれません。

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■ まとめ

 経営相談の中で、雇用に関する相談が非常に増えています。そんな中、非常に考えさせられるテーマ企画だったので、話をあちこち飛ばしながら、思うことを書いてみました。まとめると大きく2点です。

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 コロナ禍であり、課題も多く、自分の仕事に集中しがち。直接様子を見る事ができる環境であれば、周りの様子をよくみる意識付けが必要。直接見ることができない状況下であれば、情報を共有しあえる環境づくりを模索する必要がある。(頭で分かっていても、この部分を先延ばしにしてしまい、問題を抱えてしまった事例が多いと実感しています。)

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 「自分は会社に必要なのか」「何をやっているのだろうか」という疑問は目標を失っている時こそ強まります。会社の理念(目標)を改めて共有し、社員の必要性や褒めるポイントの再確認を行うとよいかもしれません(実際にこの作業を行ったことで、社員のメンタル面が回復したお客様もいらっしゃいました)。

 いずれも、今回のCOMEMO企画の大きなテーマである「相互理解」を考える動きがあるか否か。相互とあるように、会社・経営陣側だけでなく、社員も、社員同士も繋がろうとしあえる取り組みが求められているのだろうと思います。

 ちなみに最近、社員から褒められてうれしかったことは、資料に書いたイメージ図の絵が「めっちゃうまいっすね」です。「おいおい、そこはインボイスの説明が分かりやすいですね、だろ?」と突っ込みながらも、心の中のリトル岩下は「もっと褒めて」と、はしゃぎました。彼は、私がどこを褒められると嬉しいのか、よ~く理解しているのでしょう。

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#ビジネス #図解

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