夏の戦いが終わる
「おわら~ない夏、君が変わった~」
運転中、ラジオからISSAの声が響く。外気温計は37度。
それでも、なんだかISSAの主張と温度差を感じる自分がいた。
夏は、終わった。
夏の終わりは人それぞれ。気温かもしれない。風の匂いかもしれない。
夏休みの終わり。イベントの終わり。8月の終わり。
私の夏の終わりは、戦いの終わり。
高校球児の最後の試合のように、私の身近なところで戦いを終えた人たちがいる。
年に一度の税理士試験が終わった。
教え子、そして事務所のスタッフたち。
私は当事者ではないが、例えて言うなら球場のアルプススタンドにはいた。
試験休暇制度を利用していた事務所の若手スタッフ達が3週間ぶりに帰還。
戦いを終えた表情は、ホッとしていた。
満足、悔しい、期待、不安、様々な感情があるだろうが、ホッとしていた。
私も、また普段の体制に戻ったことにホッとした。
「1年間、お疲れ様」
スタンドからは、それだけ。
終わったね。それ以上は、もう少し経ってから、話そう。
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ラジオは、90年代後半~2000年代の夏の歌特集。
「駐車場のネコはあくびをしながら」
「夏の星座にぶら下がって」
「39度のとろけそうな日」
「きみがいた夏は遠い夢の中」
思わず口ずさむ青春の曲に懐かしみながら、今年の夏も懐かしむ。
まだ早いけれど、森山直太朗の「夏の終わり」が今の自分にはドンピシャかな。そんなことを思いながら、スタンドに立ち寄った。
スタンドでも同じラジオが流れていた。
セルフで給油をしていると、ガソリンの流れとともに、ひたいから、ズボンの中から汗が流れ落ちた。
そして、懐古的な気分も流れた。
そんでもって、柄にもなくかっこつけた文章をnoteに投稿しようかな?なんて気持ちも流れた。冷房の中でエモくなっていた私は、暑さで現実に引き戻されたのだ。
まずい。さっきまでのすまし顔で「今年の夏も懐かしむ」とか言っていた私が急に恥ずかしくなった。こんな時、AB型の私は都合よく二重人格なんじゃないかと新旧の私を分析する。
苦笑と照れ笑いに耐えながら1人給油する姿は、他人から見れば暑さでおかしくなったかわいそうな人だったかもしれない。
給油を終え、給油口を締めている時、次の曲が流れた。
「イケナイ太陽!!」
撤回。
やっぱ、まだ夏だ。
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あとがき
8月の仕事の目途が立ち、事務所のスタッフも帰還。子どもたちの夏休み計画表も終わりが見えた。
そんな中、ラジオから流れてきた夏の曲たち。曲たちよりも2週間くらい先を歩いている気がしました。
火水木、税理士試験を受験された方、お疲れ様でした。このような状況下での試験、経験した人にしか分からない辛さがあったと思います。
近い資格でも、今週末は会計士試験や社労士試験など、多くの戦いが待っていますね。当初、オリンピックイヤーということで、夏の試験はオリンピックとパラリンピックの間である今週に集約されました。どの資格も数万人規模の受験生がいます。
コロナに多くを奪われた夏にも、それぞれの物語があること。
「資格」という視点1つからも感じます。
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