現場一同、心を揃えて【 #会社員先生 】
■ 企画について
今回のCOMEMO企画は、副業で先生を行う人、制度への問いです。
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■ 会社員先生を経験して
私は今まで、通年では専門学校(4年制)の講師、特別講座では租税教室という形で小中高・大学、各教育課程の教壇に立たせていただきました。
本企画の問いにそれぞれ一言で回答すると、
〇 副(複)業で教える会社員先生、複業先生は必要だと思いますか。
必要だと思います。
〇 会社員先生、複業先生にはどんな教育を期待しますか。
「教育」をすること。会社員先生はビジネスではなく、教育ができるか。
〇 会社員先生、複業先生は学校教育をどう変えると思いますか。
「協働」を生み出すこと。
です。
以前、成長につながる複業とは?という問いに対し、私は受け入れ側と複業社員の方向性が一致しているかではないかと書きました。
「会社員・先生」となれば、異業種。受け入れる学校側、務める会社員側において協働の意識があるかどうかがより重要です。カラーが違うのだから様々な主義、主張、理念があっていい。それを共有しながら「生徒のために」という方向性は揃える。他の先生と役割は違いますが、教育を行う目的は同じです。
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■ 先生は「お客様」ではない
講演会であれば、講師は学校にとってゲスト(お客様)です。でも、授業を受け持つ先生は?
会社員先生として通年で勤務した際、私はゲスト気分ではなく、学校のカリキュラムを理解したり、担当科目以外に進路相談等にも乗りました。教育実習の経験もなく、教育とは何ぞやを学んできたわけでもないため、大きなことは言えませんが、ただ「教科を教えるだけ」ではなく、教育をしたいと思いました。というより、教壇に立つことの責任を痛感しました。次第に学校側からもゲストではない扱いをして頂いた際、とても嬉しかったです。卒業、謝恩会、社会人となった後の付き合い。
生徒さんからみれば、会社員先生は会社員ではなく「先生」でした。
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また通年ではなく、租税教室やファイナンス教育で教壇に立つ際、喜びは生徒さんの反応ですが、もう1つ嬉しいことは「事業が継続」することです。
とある高校では、1クラスに実施した租税教室が翌年2クラスになり、その後2コマになり、昨年は1学年全体で実施しましょうと発展していきました(残念ながらコロナ禍で断念)。2年生を対象に実施しているため、担当者である社会科の先生は毎年変わりますが、そこは社会科チームやサポートする先生方が連携していて円滑に進みます。私からも学校側からも授業の展開のアイデアが飛び交います。できるだけゲストとして構えません。
私も意義のあるものを実施したい。学校側も同じように意義のあるものにしてほしいという「協働」意識を持って頂いた時、関わる全員で前のめりに運営できます。
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■ 様々な会社員先生の可能性
以前、#こんな学校あったらいいな というコンテストがあり、私は、新教科「おとな」というショートストーリーを投稿しました。
ざっくりとした内容は、新教科「おとな」という授業がスタートし、毎週様々な業種の大人が自分の仕事の紹介や体験を提供しにやってくるというもの。まさに会社員先生を大量に生み出そうという空想ストーリーです。
このストーリーを書いたきっかけは、私の経験だけでなく、微力ながらサポートしている下記NPOの影響も大きいです。
DNAさんは主に群馬県で「未来の教室」という、高校生に向けたキャリア学習支援を実施しています。高校生に向けて、大学生や社会人スタッフが社会を語ったり、対話する。このスタッフをDNAさんは「センパイ」と呼んでいます。
情報技術など高度で専門性の高い指導ができる会社員先生もいいし、それだけじゃなく「センパイ」のような会社員先生もいい。上記取り組みはボランティアで有志によるものですが、私も幸運にも教壇に立つことをきっかけに、より社会で出来ることを考えるようになりました。そんなきっかけを掴める人が増えたらいいなと思います。
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■ 「協働」という答えのきっかけ
今回、協働という言葉を用いているのは、こちらの本を参考にしています。
本書は、現場の教育者や学者、ビジネス関係者がご自身の実体験をもとに「未来」という教科を語っています。様々な視点、意見がありますが、総意として見えてきたものは、学校と学校、学校と地域、学校と企業など様々な立場が「協働」する未来でした。
教育は学校だけのものではない。学校も1つの学校だけが学校ではない。沢山の壁や仕切りを取っ払って、社会で考えていこう。私はそう思ってこんな事業やっています。こんなことを計画しています。
このような熱い声に、私も改めて教壇に立つこと、教育に携わる事への責任を強く感じました。ますますお客様気分ではいられません。
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■ 企業側のメリット
最後に、企業側の視点で書きます。以前、地元の経済誌に「地元中小企業 × 教育現場 の連携」というテーマの寄稿をしました。
私のような小さな事務所でも会社員先生をきっかけに、雇用につながったケースがあります(若手社員の2名は元教え子)。
租税教室も、税理士会の広報活動の一環ですし、生徒ファーストで取り組んだ会社員先生の活動により、副次的に企業や業界を知ってもらうチャンスもあると思います。社員が会社員先生になる事で、社員自身の成長だけでなく広報を担ってくれるかもしれません。
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新学習指導要領のテーマも「社会に開かれた教育課程」ですが、新たな仕組みや取り組みには、負担も増加します。会社員先生が教育現場に新しい風を起こすことができるかもしれない一方、空気を乱す可能性もあります。激務な教育現場に、さらなるしわ寄せがいくような構造ではなく、協働によりプラスな未来を期待しています。生徒第一に。
「3年B組~!」「会社員先生~!!」
こんなキャラの先生がいても、面白そうですね。
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