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【唱歌シリーズ】『紀元節』高崎正風


『紀元節の歌』


『紀元節の歌』高崎正風
一 雲に聳ゆる高千穂の、高根おろしに、草も木も、
  なびきふしけん大御世を、あおぐきょうこそ、たのしけれ。
二 海原なせる埴安の、池のおもより猶ひろき、
  めぐみの波に浴みし世を、あおぐきょうこそ、たのしけれ。
三 天つひつぎの高みくら、千代よろずよに動きなき、
  もとい定めしそのかみを、仰ぐきょうこそ、楽しけれ。
四 空にかがやく日のもとの、よろずの国にたぐいなき、
  国のみはしらたてし世を、仰ぐきょうこそ、楽しけれ。

『日本唱歌集』(岩波文庫)より


YouTubeという時代の恩恵をここでも深く感じるところで、

触れようと思えば動画や音楽としての情報もすぐ得られる時代です。


詞の深い味わいとともに、美しい音楽のメロディやリズムに触れられます。

「唱歌」が伝えてくれること


「唱歌」(しょうか)とは、

明治5年(1872年)8月の「学制」頒布以来、用いられている言葉です。

明治維新=近代化に向けて、公的な義務教育が始まったタイミングですね。

「楽器に合わせて歌曲を正しく歌い、徳性の涵養情操の陶冶を目的とする教科目」と、その教科において用いられる歌曲と、両方の意味がある。

同上「解説」より

「修身科」については以前にも触れました。

また、「素読」による道徳的な教育効果についても触れました。

「唱歌」を音楽に乗せて声に出して歌うことで、

徳性の涵養」と「情操の陶冶」が見込まれるということです。


また「音楽」の側面に関しては、

明治の近代化において初めて「西洋音楽=洋楽」に触れたタイミングで、

文明開化=西洋化」のための文化の摂取を目的に含みました。

洋楽が全く日本で鑑賞されていなかった明治初期に、洋楽のリズムや音階を日本国民に普及させたのは「唱歌」であった。唱歌は、日本人が洋楽にとりついて行く大きなつかみどころとなった。

同上「解説」より


「国のみはしらたてし世を 仰ぐ今日こそ楽しけれ」


高千穂」「埴安(はにやす)」「天つひつぎ」「高みくら

といった日本神話に由来する言葉が並ぶのが印象的です。


その一つひとつを解説するのはここでは避けますが、

特に注目したいのが三番の最後の一節です。

「国のみはしらたてし世を、仰ぐきょうこそ、楽しけれ」


国のみはしら」という言葉は殆ど聞きませんが、

国家」という言葉が示すように、

「国」と「家」の間の共通点が見出せそうです。


「家」においては「大黒柱」という存在がありますよね。

それは建築構造物としての「柱」を指し、

同時に「家族」を支える「父親」を喩えたものでもありますね。


国における「大黒柱」とは、

近代国民国家においては「大統領」「首相」と言った「首脳」の存在、

王国においては「国王」がそれにあたるでしょう。

(ONE PIECEにおけるコブラ王、リク王などが思い浮かびます!)


わが国においては、「神武天皇即位」が「建国」の起源とされます。

今は「紀元節」と言わず「建国記念『の』日」というわけですが。

(「の」の存在意義が気になる人は自分で調べてください笑)


祝祭日の当日に書くつもりで遅れてしまったことの反省と自戒を込めつつ、

今回はここらで筆を置かせていただきます。m(_ _)m

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