一匹狼な私が3回告白して付き合えた彼氏を振った話
私が高校生だったころに話をします。県内でもそれなりにいい偏差値の高校に入学できた私は、中学生時代、勉強に追われていそしむことのできなかった恋愛を楽しもうときめていました。スポーツは小さいころから好きだったので、スポ少時代から続けてきたバスケ部にはいることを決めました。
その人を好きになったのは高校二年生のとき。彼はテニス部に入部しました。とはいっても、高校一年生のころにその人とは同じクラスで、すこし下品なことに興味があった当時の私は、彼に下品なことをたくさん教わりました。授業中、下ネタのような単語が先生の口から発せられると、お互いに目を合わせ、ばれないように笑いあいました、。私にとって、それはすごく青春らしい生活で、彼のおかげで毎日に色がついたように感じました。
いつのまにか、彼と二人だけで目を合わせる機会が欲しくて、先生が下ネタに通じるワードを早く発さないかと、いまかいまかと待ちわびている自分がいました。
そのときは、ただの友達だと思っていたんです.........
高校二年生になって、彼とはクラスが分かれてしまいました。
今までよく話していた女友達とも別れてしまって、代わりに時間割表の写真をとって、携帯に送ってくれる人がいなくなったとショックを受けたことを覚えています。でも、同性の女友達より、彼とクラスが分かれてしまったことを気にする自分におどろきました。高校二年生の春にクラス替えが行われた後、すぐに私はただの友達でしかも異性であった彼のクラスを確認しに行きました。私は1組で、彼は6組。一番距離が離れていました。
それでも、なにか6組に用事はないかと考えたり、六組の担任の先生と親しくなって、六組の教室に入る口実をつくろうとしていました。
これが異性への好意だときづいたのは、部活動バスケに打ち込んでいるときでした。
二年生になったから、大好きなバスケに打ち込んでいても、誰かのことがちらついて全然集中できませんでした。
次第に部活動の試合では、スタメンに選ばれることがすくなくなってきました。だから。私は決心しました。この思いをぶつけて、もやもやした気持ちをはっきりさせようと。
私は女子なのに、一匹狼なところがあるので、なぜか誰かに相談して決めてはいけない気がしました。
私は彼とその日の部活帰りに自転車小屋で待ち合わせをする約束を、同じバスケ部である彼の男友達に頼みました。そのときに、絶対に女友達には頼んではいけないと言い聞かせたのをいまでも覚えています。
彼の友達から、彼がその日テニス部の活動の終わりに自転車小屋にきてくれるという報告を受け取ったときに、最後の決心がつきました。
いまいち、そのときは彼のどこが異性として好きか自分でわかっていませんでしたが、大好きなバスケに集中するためにも、この気持ちをはっきりさせようと思いました。
その時は振られてもいいと思ってました。
どうせほかに付き合っている子がいるとか、好きな子がいるとかで振られるだろうと予想してました。
あとは友達のままでいたいとか。
でも、きっちり振られたほうが結果としていいと考えてました。
きっちり振られたほうが、これからの自分にけじめがついて、またバスケに本気で打ち込んで、スタメンに出られると思ってたからです。
その日の夕方、とはいってもほぼ夜になったとき、自転車小屋でカバンを背負って私は彼を待っていました。彼は、来ました。
わかっていたことなのに、なぜか軽い足取りで私に向かって砂利の上を歩いて来るのを見ると、むかつきました。
こっちはいままで体験したことがない大舞台に立っているというのに。
理不尽な考えがテレパシーで伝われと思ってましたが、所詮、それは極限に焦っている自分を落ち着かせるための行動でした。
彼が ”久しぶり” となんの抑揚もなく言葉を発しました。でも、それが彼でした。そこで気づきました。私は誰に対してもフラットに接する彼の安定感に惹かれていたのだと。
”久しぶり”と聞いて、長い間会話をしてなかった相手に告白なんかしてもいいものかと、また要らない思考が頭を駆け巡りました。
彼は右手にカバンを持ち、暗闇の中でもわかるくらい、まっすぐ私をみてきました。私は目を合わせられませんでした。
私は ”ほんとにひさしぶりだよね....” とその場をつなごうとしていましたが、つなげていませんでした。
この機械に顔を上げようとしてみましたが、やはり無理でした。
世間話が苦手な私は、こんな重苦しい空気のなかで下を向いていることに申し訳なさを感じました。だから、いま言うしかないと思いました。
”好きです。付き合ってください。”
あまりにもありきたりな言葉しか出てこなった自分に驚きました。
そして、
”ごめんなさい”
”前から好きだった人がいるから。”
よかったと思いました。これが最初から望んでいた結果がこれだったのです。誰にも相談しなかったおかげで、誰にも悪い報告をすることがありませんでした。
でも、彼に振られた後も、バスケの試合では、
私がスタメンに選ばれることはありませんでした。
続く
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