ひらめき天才少女と全力少年の日常②(小説モドキ)
そいつは、私が裏で『全力バカ』と呼んでいるユウトだ。
私が唯一苦手とするスポーツ全般を得意とする男。そして、同年生で幼馴染み。
見た目や筋力は、たいして私と変わらないはずなのに、全力の努力でハンデを乗り越えてきた暑苦しい男だ。
なのに、勉強は点でダメ。
大学生にもなって、中学校で習う数学の基礎で頭を抱えている。
『どうやって、大学生になったんだよ!?』
とふざけ半分で聞いたら、スポーツ推薦で高校、大学まで学費無料で入学できたらしい。
典型的なスポコン全力バカだ。
まぁ、私も推薦入学ではあるが…
話すぎた。時を戻そう。
そんな私が、放課後、スポコンバカのユウトに体育館裏に呼び出されている。
『なんだ、この急展開は!?!
まさか、告白?!』
恋愛経験のない私は、少しドキドキしながら待っていた。
『わりぃ、待たせたな』
息を切らしたユウトが私にかけよった。
『とりあえず、近くの喫茶店にでも行こうぜ』
なんだ、告白じゃないのかと肩を落とす。
『いかん、いかん、私としたことが何を動揺している。ふー、いつも通りいこう』
吐き出したい心の声をこらえつつ、そうして私たちは、馴染みのある喫茶店ティータイムに向かった。
レモンティーを2つと、私のパフェを待つ間に用件を聞いた。
『それで、私に何の用?』
そう聞くと、彼はこう言った。
ユウト『俺に勉強を教え…』
ナツ『断る』
単純な理屈だが、中学校の数学すら理解できない大学生をなぜ、私がタダで家庭教師しなければならないのか理解できないからだ。
『くだらない』
そう吐き捨てると、ナツは、注文したパフェを食べ終わると、即座に立ちあがり、会計を済ませて喫茶店の出口のドアまでサッと足を運んだ。
ユウト『ちょっと待てって、冗談だって』
ナツ『あいにく私、あなたのご冗談に付き合ってるお暇はないんだが』
そう素早く切り返し、再びドアノブをつかんだその時、彼はこう言った。
『お前の頭のよさで、人助けしてみないか?』
サポートで得たものは 今後の夢への活動費にと 考えております。