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2015年の日記など

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#小説

「雪女への書簡」

「僕は君に何か言うことができるだろうか。言うべきことなんて何もないのかもしれない。僕は君…

母音
4年前
9

小説「入れ墨の男」

 刺青だらけの男。たくさんの名前や絵が体に彫りこまれている。 「忘れっぽいんだ俺。だから…

母音
4年前
8

断片「国立文書館」

「僕でも載っているような国立文書館の名簿に、どうして君の名前は載っていないんだ?」 「削…

母音
4年前
8

断片「国立文書館」

「この先何が起こるのかなんてことはもうわかってるんだよ」 「何が起きるんです?」 「俺は…

母音
4年前
5

雑文

 ばらばらの宝物。どこか遠い町の閑静な住宅街の瀟洒な住宅の地下室に、統一性のかけらもなく…

母音
4年前
10

小説あるいは雑文「3つの目と3本の腕と2つの口を持った化け物 」

 下校途中の女子中学生を男が暗がりに引きずり込むという事件が起きた。3時間ほど経って少女…

母音
4年前
10

小説「2人の乳母」

・発端  乳母が子どもと外で遊んでいた。その家の主人は別の部屋で仕事をしていたが、乳母と子どもの叫ぶ声をききつけて外に駆け出した。そこで主人は驚くべき光景を見た。顔形が全く同じ乳母が2人、子どもの手をつかんで自分の方に引き寄せようと引っ張っているのだった。両側から引っ張られ、子どもは痛みで泣き叫んでいた。  2人いる乳母の内1人は妖怪が化けている姿に違いないと主人は思い、なんとか本物を見極めようとしたが、全く見分けがつかなかった。そこで主人はふと、何日か前にみすぼらしい男

小説「ザリガニ」

「僕はいつか、この場所に帰ってくるよ」  彼がそう言っていなくなってからもう15年もの月日…

母音
4年前
7

小説「壁」

 壁?目の前に見えるのは壁なのか?いや決して壁なんかではない。地面に等間隔に打ち込まれた…

母音
4年前
8

「ある朝、飴玉」

「世界は言葉で構築されているの。わかる?」 「わからないよ」 「あなたが見ているのは全て…

母音
4年前
7

小説風雑文

「どこにも何にも到達しない声」 そう少女が言った。僕は街の片隅のアパートの一室に彼女を連…

母音
4年前
8

宝物庫

   僕は宝物庫の中で途方にくれている。そこにはたくさんの宝箱が置かれていた。どの宝箱の…

母音
4年前
5

バーミヤンにて

 バーミヤン近郊の洞穴の中。ある男が年端もいかない少女をそこに幽閉する。粗末な木組みのベ…

母音
4年前
8