雑文


 ばらばらの宝物。どこか遠い町の閑静な住宅街の瀟洒な住宅の地下室に、統一性のかけらもなく色々な宝物が乱雑に保管されている。乱雑に放り投げられ、そしてそのまま永遠に忘れ去られてしまうような代物でも宝物と呼ぶことは出来るのだろうか? 

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 テニスコートでそんな会話をしたことがある。あれは誰とそんな会話をしたのだっただろうか。Fじゃなかっただろうか。そうだ、その時俺は初めてFと会話を交わしたのだった。Fは幼年の頃ペルーで暮らしていた。父親は商社づとめで、フジモリ政権下で何やらいい思いをしたとのことである。Fがまだ小さかった頃には家にお手伝いさんがいたとのことである。小学校低学年の頃にはすでに日本にやってきていたと話していたのを覚えている。奴とは中学校で初めて一緒になったので、小学校のことはわからない。

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 Fはエヴァンゲリオンが好きで、そして綾波レイが好きだった。俺もどちらかというと綾波の方が好きだったけれど、Fほどではなかった。Fは綾波の台詞をMDに録音してずっと聴いていた。これは実際に俺も聴かせてもらったから間違いない。しかしそんな感じの少年があの頃には掃いて捨てるほどいたのである。


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