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2015年の日記など

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#3月

小説風雑文

「どこにも何にも到達しない声」 そう少女が言った。僕は街の片隅のアパートの一室に彼女を連…

母音
4年前
8

ある宰相の独白

「そう、私はかつて平民だった。家は貧乏で、日々の食べるものにさえ事欠いていた。しかし家の…

母音
4年前
8

幻想雑文

 さまよえるユダヤ人は何人もいた。  たとえば1人はアラビアの砂漠に残り、たとえば1人はイ…

母音
4年前
7

キリスト教についての雑文

 僕たちはキリスト教についてどう考えるべきなのであろうか?  日本人がキリスト教を知った…

母音
4年前
7

雑文

 あれを探すんだ。あれを探さなくては… ------------ 「矢印」が浮かんでいる。いいぞ。あ…

母音
4年前
8

日記

 たくさんの人々が橋の上を歩いている。恐らく対岸のバーベキュー場を目指すのであろう。  …

母音
4年前
8

宝物庫

   僕は宝物庫の中で途方にくれている。そこにはたくさんの宝箱が置かれていた。どの宝箱の中にも貴重な宝が仕舞いこまれている。僕は無数にある宝箱のうち、どれか1つを開けてその中身を持ち帰っていいと王様に言われている。しかしどれを持ち帰ればいいのかということがわからないのだ。どれも素晴らしい宝物のように思える。しかしどれか1つということになると…  たくさんのラビズラズリ、最高級の白檀の香木、匂い立つ竜涎香、素晴らしい装丁の古書、三国志時代の木簡、少女のミイラ、美女のあられも

雑文

 なぜこんなに白いのか。なぜいつもここを通っていかないといけないのか。 俺は呪われている…

母音
4年前
4

バーミヤンにて

 バーミヤン近郊の洞穴の中。ある男が年端もいかない少女をそこに幽閉する。粗末な木組みのベ…

母音
4年前
8

ベナレスにて

 崩れた赤子の死体を抱えてガンジス川のそばまでやってきた母親。彼女は水中へと至る石段を一…

母音
4年前
3

小説風雑文

「あたしは寂しい」 「僕がそばにいるよ」 「あなたじゃだめだ」 「どうして?」 「あなた…

母音
4年前
6

1920年代、パリ

 1920年代のパリの街をうろつく1人の若い中国人。彼は郊外のルノー工場で働いて生活費を稼い…

母音
4年前
10

雑文

カンボジアで遭遇した虐殺。ポルポトの残虐な殺人。 売れない芸人がアンコールワットを掃除し…

母音
4年前
5

「ギュスターブの独白」

「…つまるところ最悪なのは「最悪」だということすら言えないということだ。そうは思わないか?アルフレッド。今日も雲が空をふさいでいる。太陽の光は一筋だって地上に届きやしない。人々は空には何も期待していないからもう何年も首をあげていない。彼らはみんな猫のように背中を丸くして、なめくじみたいに地を這ってなんとか生きている。なあ、僕はこの暗い部屋からどんな手紙を書けばいいのだろう?誰に宛てて、何を書けばいいのか?言葉は紡ぎだした瞬間からからからに乾いて粉になり、吹き飛ばされて消えてい