雑文


 あれを探すんだ。あれを探さなくては…

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「矢印」が浮かんでいる。いいぞ。あとちょっとだ。

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「道路標識」がある。制限速度30キロメートルを示す道路標識。僕はこれを探していたのだろうか?僕は車に乗っていない。あの真っ赤なアウディには乗っていない。どう逆立ちしたって時速30キロメートルものスピードを出すことはできない。そんな僕に、そんな生身のか弱い僕に、この道路標識は何のメッセージも投げかけない。「空を飛んではいけない」という警告を翼を持たない人間に投げかける意味はないのだ。

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 僕は何を探していたのか?図書館?それとも宝物庫か?こんなに何もなくていいのだろうか?…いや、何かはあるんだ。何かはあるんだ…

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 ドラゴンを倒す聖ジョージ。黒衣を身にまとったドルイドの末裔が若い王様に向かってその話をする。王様は感動し、聖ジョージを自らが住まう国の守護聖人にしようと心に誓う。王様の名前はヘンリー5世。彼が住まう国の名前はイングランド。


 そうだ。そうだそうだそうだ。アジンコートの戦いでヘンリー5世は奇跡的な勝利を手にするのだ。ヘンリー5世は感動する。これも聖ジョージの加護のおかげだと、地に膝をついて祈りをあげたのだ。竜を倒したジョージ。そしてフランスを打ち破ったヘンリー。さあヘンリー。君はイングランドの王にして今やフランス王位の継承者となった。大陸と島の2つの国をすべる王として、誰にも恥じないような生き方をこれからはしなくてはならない…

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