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連載小説 センチメンタルジャック(45)


「美紀、おいで、ジャックはこっちに居るよ」

康二が手招きする方に美紀は付いて行った。メンテナンスルームと書かれた部屋の中に入ると、分解されたロボットの上半身や腕や足など体の一部が幾つも置かれている。その一番奥にベッドがあり、白い布が掛けられていた。

康二が布をそっとはがすと、ジャックが横たわっていた。全身錆だらけの冷たい金属の塊の様な姿は、元気だった頃の生命感は微塵も感じられなかった。

「ああジャック、こんな姿になって、かわいそうに、もっと大切にしてあげたら良かった、ごめんなさい、ごめんなさい」

美紀はジャックの手を取り頬を擦りつけポロポロと涙を流した。

「美紀、ジャックはセンチメンタルモードを装着した特別なロボットだったんだよ」

「センチメンタルモード?」

「普通のロボットには喜怒哀楽や好き嫌いなどの感情は無いんだ。だけどジャックにはそれがあった。ほらお腹にあるこの赤く光るボタン、これがセンチメンタルモードのボタンなんだ」

「ジャックはいつも笑ったり怒ったり、感情豊かだった、ジャックは正直だからそれがすぐ顔に出るの。ジャックに良く説教もされたなあ。私はそれが普通のロボットなんだと思ってた」


つづく

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