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連載小説 センチメンタルジャック(32)


「美紀の事を思うと僕の心は揺れ動く、それは僕にCTモードが装着されているからだ。CTモードをオフにしたら美紀の事でこんなに思い悩む事も無い。僕はもっと楽になれるかも知れない」

ジャックはCTモードのボタンを眺めていた。

「このボタンを押してCTモードをオフにしたら僕の感情は消える。CTモードが付いているのは特別なロボットだと康二が言っていた。でもロボットに心なんて必要無い。もう人を好きにならないし、失恋する事だって無いんだから」

CTモードのボタンのランプは赤々と光を放っている。

「心が無くなったら僕はどうなるのだろうか、もしかしたら死んでしまうかも知れない」

ジャックが恐る恐るCTモードのボタンに指を近付けるとランプの光は一層強さを増した。指を遠ざけるとランプは普通に戻る。

それはまるでジャックに押すなと言っているかの様だった。


つづく

センチメンタルジャックがコングラボードを頂きました。読んで頂きありがとうございます。

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