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連載小説 センチメンタルジャック(31)


花火大会の後、この町で康二の姿をぱったりと見掛けなくなった。翌春、康二が最先端のロボット工学部がある優秀な大学に進学し、この町を出て行った事をジャックは風の噂で知った。

康二がこの町を去った事を知ってか知らずか、美紀の生活は相変わらずだった。誰が見ても美人の部類に入る美紀は相当モテる様で、彼氏らしき男を次々と乗り換えていた。

美紀が付き合う男達は、皆似たような流行り髪型に気味の悪い薄化粧と口紅迄付けている。ジャックはその誰もが同じ顔に見えて区別がつかなかった。

こんな男のどこが良いのだろう、康二の方がよっぽど良い男なのに、見たくないのに、つい目にしてしまう美紀のSNSを見る度、ジャックのCTモードのランプは苛立ちで真っ赤に点灯した。


つづく

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