見出し画像

婚活日記〜優しいフランケン編〜

<婚活日記〜婚活パーティー編〜>
※コロナ前の話です

すっかり顔パスになった婚活パーティー運営会社から、
「今日どうですか?無料でいいです!」
といつものように連絡が来たので、
その日は週末だったこともあり行くことにした。

その日も当然期待はしておらず、
「まさかのまさかがあればいいな」
程度で参加した。

思った通り「これだ!」とおもうサブカルメガネ男子はおらず、
仕方ないので唯一一つだけ趣味に「映画」と書いていた男子を第一希望に書いたらまさかのマッチングが成立してしまった。

医療系で働く彼は、
背が高くてガタイが良くはあるが、
決してイケメンでもなく、
特別おしゃれでもなく、
「普通」
を絵に描いたようなアラフォー男子だった。
雰囲気としてはフランケンシュタインの頭からボルトを取り、
スーツを着せた感じである。

そんな彼とはどんな映画が好きか聞いたのだが、
趣味が違いすぎて忘れてしまった。

もはや映画の趣味も違う以上特に共通の話題もない状態で、
「飲みに行きましょう」
と言われたのでマッチングした以上断ることもできず飲みに行くことにした。

特に私は自分の話を話したくなかったので、
彼の話に傾聴することにした。

彼は今の仕事を始めてやっと落ち着いてきたところで、
以前は違うことをしていた。
何がきっかけだったか忘れたが今の仕事に転職したらしい。

向上心があり行動できる男性は素晴らしいな、
と思い、素直に褒めていたら、
「でもあの時もっと自分がこうしていたら、あの患者さんは今もっと違ったんじゃないかとおもうことがあるんです」
と言って、目を潤ませ始めた。

え?
泣くの?

「自分としてはその時の一生懸命を尽くしたつもりでも、やっぱり結果が伴わないと後から後悔することとかも多くて・・・」
と言って彼はついに泣き始めてしまった。

私は冷静になって考えた。
まず、めちゃくちゃ真面目でピュアないい人だ、
と考えることができる。
しかし、
アラフォーにして情緒不安定ということも出来る。

目の前で優しそうなフランケンシュタインが泣いている。

冷静なつもりだったが私は若干引いてしまっていた。

「真面目なんですね、その時ベストを尽くしていたと思えるなら患者さんだって喜んでくださると思いますよ」
私は声をかけたがフランケンは泣き続けていた。

居酒屋で向かい合わせに座っていたので、
まるで私がフランケンを泣かせているように見えているのではないか、
と若干気になっていたので私は早く泣き止んでほしかった。

私が話題を変えて(時事ネタだったとおもう)話をしているうちに、
次第にフランケンの目から涙が消えた。
良かった。

私はもう断然に帰りたくなっていたので、
「そろそろ帰りますか」
とそれとなく促したのだが、
フランケンが新しい話題を振ってきて帰れない、
ということが何度か続いた。

き、気に入られている・・・・・・

「こ、これは強く帰るアピールをしないと帰れないやつだ・・・!」
と思った私は隙を見てはお会計アピールをしてみたが、
四度目くらいでやっと開放してくれた。

「今日は本当にありがとうございました、楽しかったです」
私は定型文のお礼を繰り出し頭を下げると、
「僕も本当に楽しかったです、ありがとうございました」
とフランケンも笑顔でお礼を言ってくれた。

優しそうなフランケンだ。

情緒不安定かもしれないが、
これまであれだけメガネ男子とはうまくいかなかったし、
めちゃくちゃ真面目でピュアなフランケンなら・・・
と少し検討しながら家路についた。

しかしその夜も連絡は来ず、
翌日も来ず、翌々日も来ず、
「なんだ、気に入られた気がしていたが気のせいだったか」
と思った。
気に入ってくれた男性は大体その日のうちに連絡、
もしくは翌日には必ず連絡してくれる。
それがないということは、
特別私を気に入ったわけではなかったんだな、
と思ってまた日常を過ごしていた。
それからしばらく経ったある日、
突然フランケンから連絡がきた。
「先日はありがとうございました。12年ぶりに、『この人だ』と思える人に出逢えました。今週末一緒にご飯に行きたいのですが、ご都合はいかがですか?」
と書かれていた。

えええええ??!?!?!?!?!
気に入ってないんじゃなかったの??!?!?
ていうか12年ぶりって何??!??!
アラフォーにして12年以上彼女がいなかったということ?!??!?!

いろいろ突っ込みどころ満載な連絡に、
私は返事をするかどうか躊躇した。
が、私はそもそも連絡を頻繁にくれる人でないと、
メンヘラなので淋しくて死んでしまうので向いていない。

私はそっと、フランケンの連絡をスルーした。
そろそろ彼が13年ぶりの出会いをしていることを願っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?