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空想ブーランジュリー 5.

※こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

「せっかくここまでやるんだから、さすがに1日だけではもったいない」ということで、この『空想ブーランジュリー』 は2日間の開催になった。
募集するお客様の人数は、1日50名の2日間で計100名。
イベント本番では池田さんと田村さんの対談中、アメリの話になったタイミングでお客様全員に自家製のクレーム・ブリュレを配り、みなさんで食べていただくというオマケと『ヌーヴェルヴァーグの箱』と名付けたお土産もつけることにした。

これは映画に登場するパンやお菓子を再現した7種類を詰め合わせたもので、中にはガレット・デ・ロワも入れ、すべてにフェーブもつけた。それに加え、池田さんによるパンやお菓子と映画について細かく書かれた解説書もつく。
これで参加費は、1500円。
これも設定する段階で1800円や2000円といった意見もあったけれど、1500円にしてもらった。「うちが赤字になっても構わないから」って。
理由はシンプルに「映画のイベントなんだから映画のチケットより高くならないようにしようよ」「イベントは還元だと思っているから」。

ここまでやれば予約はかなりの勢いで入ると予想したけれど、実際にはそれ以上だった。
このイベントの数ヶ月前、池田さんの著書 「パンラボ」の刊行記念として百年「と」パン プライスカードの ”パン文学” 案内というトークイベントが吉祥寺の古本屋 百年さんで開催され、ぼくもゲストとしてお招きいただき池田さん、渡邊政子さんとで鼎談をさせていただいている。
実はこのイベントのご予約受付の際、百年さんの電話が大変なことになっていた。
事前告知では百年さんの電話のみが受付窓口となっていたけれど、あっという間に定員数になり繋がらないという方々からうちの店やパンラボさんの方へも電話がかかり、ちょっとした混乱になったという経緯があった。
そのため『空想ブーランジュリー』では、マルイさんのwebサイトにある「イベント申し込みページ」のみで募集をさせていただくことになった。
これなら定員数に達した時点で受付を自動で終了してくれる。

そして受付開始の日。
このときのことは、いまでも鮮明に憶えている。
ぼくは渋谷のレフェクトワールをつくることが決まり、Landscape Productsの中原さんの案内でL.A.視察へご一緒させていただくという、ちょうどその日だった。
中原さんのお店で待ち合わせをしていたぼくに予約受付開始直後には連絡が入った。
2日間の定員が10分足らずで埋まったため、マルイさんにお問い合わせの電話が何件もかかっている。そのため急遽マルイさんが増席をされ、もう一度追加募集をするという報告だったけれど、結局それも一瞬だった。

イベントの際に池田さんと田村さんに対談をしていただいた正面のテーブルは、『女は女である』に登場するテーブルを小物の位置まで再現している。
お気づきになられた方がおられたかわからないけれど、お二人には映画同様それぞれ青と赤の服で登壇していただいた。
もちろん、田村さんがアンナ・カリーナ役。

こうして2日間に渡るイベント『空想ブーランジュリー “アンナ・カリーナの食べたパン”』は、大盛況のうちに終了した。
内容が盛りだくさんのイベントになったけれど、実は著作権の関係で上映したくても使用できない映像や、調べていただいたものの作品が古過ぎるために著作権がどこにあるのかさえ不明で使用できないものもあった。
そういった意味でもぼくにはこの手のイベントの難しさも勉強になった。

いろいろと大変だったけれど、終わってみれば準備に3ヶ月間もかけ本番が2日間で終了するという儚さもそれがイベントであり、だからこそ貴重な時間、良い想い出になるのだと思えた良い経験だった。


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