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すべてがNになる

ぼくらが普段、実物の半導体を目にすることはほぼないと思うけれど、昨今ニュースなどで「半導体」という活字や言葉を見聞きしない日がないほど世界中の話題になっている。
PCやスマホ、テレビ、ゲーム機、デジカメ、車はもちろんのこと、身近にある家電や電子機器のほとんどに半導体が使われているため、日常生活に必要不可欠なものになった。

2、3年前、車を買いたい人が買えない、新車が手に入らない、買えても納車がずっと先になる。そのため中古車価格が上昇する、といった状況になったことは記憶に新しい。これは、急速に増えた半導体需要に供給が追いつかないことが原因だった。
当時、ぼくは小川珈琲さん(京都)の新店舗で提供される食パンの開発に携わっていた。店舗工事が進む中、「トイレの納品が難しく、オープン予定日に間に合わないかもしれない」といった事態が起きた。
なぜ、トイレが?と、尋ねると「半導体不足のせいです」とのこと。幸い、オープンには間に合ったけれど、今ではトイレにも半導体が使用されている。

タワーレコードさんの名コピーを拝借すれば、もはや現代人はこんな感じだ。

NO Semiconductor、NO LIFE ?

半導体なしでは生きられない

半導体には種類もあればメーカーもいろいろとある。しかしその説明が本題ではないので割愛するけれど、少しだけ端的に述べれば、AIは大量のデータを高速で処理する必要があるためプロセッサにはGPU(画像処理半導体)が不可分になる。
そして今後、一番需要が高いと思われるAIの分野に必須である最先端のGPUを開発している半導体メーカーが有名なNVIDIAである。

今や時代の寵児となったNVIDIAなので比較的新しい企業のようなイメージをされる人もおられるかもしれないけれど、昔からPCやゲーム好きの人たちにとっては、グラボ(グラフィックボード)のメーカーとして知られていた。だから設立はGoogleやAmazonよりも少し昔になる。
そんなNVIDIAが近年大躍進をした背景にはもちろんAIの隆盛があるけれど、そこにいち早く気づいたCEO ジェン・スン・フアンさんの、その分野へ会社を全振りするという先見の明があった。

つい先日、「やはり盤石に映るGAFAM」という考察を述べた。そこへNVIDIAというスーパースター企業が現れたわけだけれど、その私見に変わりはないし、ゲームチェンジという印象とも少し違う気がしている。

ただ、時価総額の順位は変わった。

時価総額では既にGAFAMのうちGoogle(Alphabet)、Amazonを抜いてMicrosoft、Appleに次ぐ3位にまでなっている。それもAppleを抜くのも時間の問題だと思う。

と、実は書いていたけれど、奇しくも昨日この続きを書いている最中に「NVIDIA、時価総額Apple抜き世界2位」というニュースが流れてきた。

やはりそうなるよな、とは思ったけれど前述したように、個人的にはGAFAMN(GAFAM+NVIDIA)といった横並びの印象とも少し違うんだな。上手く言葉にして説明するのが難しいんだけれど。

今やぼくらはこれらプラットホームに首根っこをつかまれ、生殺与奪の権を握られてしまっているからである。

やはり盤石に映るGAFAM

ぼくは、そんな最強であるGAFAMの首根っこをつかんだのがNVIDIAだと思っている。
GAFAMやxAI(イーロン・マスクさんのスタートアップ)などが熾烈な競走を展開する中、彼らにとって必須となった高性能なGPUを提供できるのは、もはやNVIDIA一択である。AIに参入する多くの企業にかの製品が供給され、その結果現在ではGPUのシェアが98%とのことだから 、もう寡占状態というよりもほぼ独占に近い。

そりゃ、NVIDIA無双になるわ。

つまり、GAFAMも含め生成AI時代の覇権をいずれの企業が握ろうと、その首根っこをつかみ、ある意味その企業の生殺与奪の権を握るインフラとして立場を確立したNVIDIAこそ、本当に盤石な気がする。

もし今後、一強であるNVIDIAの牙城が崩れることがあるとすれば、二つの可能性しかぼくには思いつかない。

一つは、世紀の大発明が起きて半導体に替わるものが現れたとき。

これはないかなぁ。

もう一つは、独占禁止法など外圧による規制が行われた場合。

あるとすれば、こちらかな。

それにしても、昔は「半導体といえば日本」という時代もあったのにね。
本当に残念な国になったなぁ。

つづく



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