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まぼろし〜

日銀が長期国債やETFなどの金融資産を購入してきたのには、 ”景気を刺激し不況から脱するため” や ”株価を下支えするため” といった、もっともらしい大義があった。
けれど、日銀が株価を下支えって・・・

なんだ、そりゃ

アベノミクス時代、株式投資で儲けましたーという浮かれた人たちをメディアでよく見かけたけれど、そりゃそうでしょ。だって株価が下がれば日銀が買い支えてくれるんだから。勘違いして、おかしなことをしなければ株価は下がらない。

この株価上昇は明らかに人為的な政治や政策主導であり、いわゆる官製相場としか思えないものだった。こんなの実体経済の伴わないまやかしの株価上昇でしかないのだから、日本経済の回復などであるはずもない。
これでは庶民が「景気の実感がわかない」のも当たり前である。

まぼろし〜 なんだから。

今、騒がれているRIZINのドーピング騒動みたいなもんだ。PPV見て、あんなに感動したのに。
RIZINの選手は疑惑だけれど日銀のやってきたことは確定で、それも天下の中央銀行がドーピングをやっていたようなものだ。

ETFの買い入れについて黒田・前総裁は総裁会見で「副作用を生んでいるとは思わない」と発言されたことがあったけれど、これだけ長年強いドーピングをすれば副作用は当然あるんじゃないかな。
ETFに組まれている企業の中には経営状況の悪いところもあっただろうことを思うと、実態以上の株価だった企業もあったに違いない。もちろん”将来の株価を織り込む” という意味ではなくてね。
公的な中央銀行が、こうして堂々と市場を歪めるのはいかがなものなんだろう。

投資をされていない人に「株価って、どうやって決まると思う?」と問えば、おそらく大半の人は、こう返答されると思う。

企業の業績が上がれば株価が上がり、それが下がれば株価が下がる

本来、これが正しい姿だと思うけれど、実際にはかなり違う。
黒田・前総裁は、ご自身の信念かのように「円安は日本経済にとって良いことだ」と繰り返し言明されていたし、現在の日本の株高を支えているのだって近年続いている円安が大きな要因であるのは違いない。

少し前には「円安で企業の経常利益が過去最高」とか「上場企業、3年連続で過去最高益」「歴史的な円安が要因」といった記事を数多く目にした。
しかし円安でないと上がらない株価ってなんだかなぁと思うし、為替差益がないと利益が伸びない企業というのも、何とも情けない気持ちになってくる。

今年3月には日経平均株価がバブル期を上回り、4万0888円の最高値をつけたというニュースをやっていたのは記憶に新しい。どのニュース番組でも大きく取り上げられ、テレビでは小さなくす玉を割って浮かれる証券会社の人たちが映し出されていた。
正直、滑稽でしかないし、おめでたい人たちだなぁと冷めた目で見ながらこう思った。

日本経済の復活?

はぁ、どこが? 

35年も昔の日経平均株価に、やっと追いついただけなのに。

同じ35年前の1989年末、米国のダウ平均株価は2633ドルだった。
現在、40908ドルだから15倍以上になっている。
単純に、米国同様に日本経済が伸びていたとすれば、現在の日経平均株価は約60万円になっていたことになる。ところが直近のそれは、約38000円でしかない。

これのどこが日本経済の復活なのか。
失われた30年どころか、”失われた35年” なんだけれど。
4万円程度の日経平均株価で、くす玉を割って浮かれているのは証券会社と一部の投資家だけだと思うんだなぁ。

空虚感しか覚えないけれど、「株価上昇 ≠ 好景気 」というのはアベノミクスの時に多くの人が実感したはず。あの時と根本的に変わらない日本の相場は、実態の伴わない投機相場でしかないし、それを長い間、是認してきたのは他でもない政府と日銀なんだけれど。

とりあえず黒田・前総裁は、背負い投げ〜だな。

つづく




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