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独立した元スタッフへの言葉と、経営のこと 14.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

これだけ現金を残すこと(内部留保)を重視するぼくも、お店をするには相応の資金が必要なのでもちろんこれまで金融機関からの借入はして来ている。1軒目はもちろん、2軒目、3軒目も。
でも、よく言われる銀行からの信用や実績を付けるためといった動機は、ぼくの中でかなり優先順位が低くほぼないに等しいし、借金があるから頑張れるというものに至っては皆無と言っていい。
ぼくが借入をする際には、いつも致し方なくという思いが付いた。
拡大することを目指したぼくにとって借入とは、「時間を買うため」以外の意味はなかった。

1軒目の借入を完済し、2軒目を始めたぼくの考えはこうだった。
1軒のまま内部留保を続け、資金ができた時点で2軒目を出すことも考えられるけれどそれだと時間が掛かり過ぎる。そこで致し方なく2軒目をつくるための借入を金融機関からする。
借入をしても2軒掛かりで1軒分(2軒目)の返済をすれば返済期間は短くなる。
これを繰り返せば3軒掛かりで1軒分の返済を、4軒掛かりで1軒分の返済を・・・と返済期間はどんどん短くなり、いずれ無借金経営になる。
そうなると、今度は新規で出店をするにも借入なしで開業することも可能になる。

とても単純で稚拙とも思える方法だけれど、決して机上の空論というわけでもない。実際には2軒目をスタートしてから2年後には3軒目となる新宿のお話をいただいたのでこの予定は少し狂ったけれど、それでも4軒目である渋谷の店、5軒目の大丸京都店をつくる際には、借入なしの自己資金だけでオープンをさせた。
その大丸京都店オープンから間を空けず京都にある3階建1棟をお借りし、OMAKEとセントラルキッチン、事務所をつくるための改装費や設備投資費には多額の費用を要したため一部借入もしたけれど、それでもぼく史上最高額になった総投資額の80%以上を自己資金で賄っている。

「ビビりのぼくが目指したのは、他人資本がゼロの体質、平易に書けば無借金経営だった。(この話の10.)」と書いたけれど、仮に「長期借入が残っていたとしてもそれを上回るだけの内部留保が残してあれば、事実上の無借金経営」だとぼくは考える。そしてこのときのぼくがまさにそういった状態だった(借入なしの自己資金のみでも可能だった)。
また、何よりも経営をして行く上で「内部留保ほどリスクの低い資金調達方法は他にない」とぼくは思っている。

これが、ぼくが内部留保を重視する理由であり、元スタッフ2人に『 騙されたと思って、まず2千万円貯めることを目標にして』と伝えた言葉の真意だった。

独立した子たちに、何となくでも伝わるといいな。


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