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独立した元スタッフへの言葉と、経営のこと 12.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

借入で問題なのは、設備投資であれ運転資金であれそれらが適正でない場合。
設備投資は実質経費処理ができていることになるけれど、掛かった費用を一度には経費処理ができない(これが減価償却)。
だから過剰な設備投資をした場合など、元本返済期間より減価償却期間の方が長くなる場合があり、その分税金の支払いが多くなることで残高不足、資金繰りの圧迫が起こり得る。

元本返済期間 <減価償却期間

この話の中で寄り道をして、ぼくが中古機器のススメを書いてきたのには理由がある。それは既述したように設備投資額を抑えるといったことに加え、この減価償却期間の部分でのメリットがあるから。
減価償却期間はその耐用年数から算出されるため、新品の機器と比べ中古の耐用年数は短く設定される(=減価償却期間が短くなる)。
その分、年度あたりの償却費も大きく費用化できることで利益の圧縮も期待でき、節税効果にもなる。
また新品の機器の場合、耐用年数の設定が長いため年度あたりの減価償却費が少額になり利益の圧縮ができない分、それだけ税金が高くなるので資金を圧迫されたり残高不足になる可能性が出てくる。

だから元本返済期間はできるだけ長く(毎月の返済額負担が下がる=残高不足というリスクが下がる)、減価償却期間は短い方がいいと考える。

そもそも不相応に投資額が大きくなると返済額も大きくなることに加え金利負担も大きくなるので、それに見合う売上や利益がないとやはり現金の残高不足が起こる可能性がある。
また、運転資金の返済額が大き過ぎた場合には、それだけの現金は減っているのに税金は「その返済額分も含めた利益に対して課税される」 ので、やはり現金残高の不足が起こり得る。

ただし、「過剰な設備投資」の “過剰” や「大きな返済」の ”大きさ” というのは、利益と相対的な話なので、10万円なら小さくて1千万円なら大きい(過剰)といった話でもない。仮に返済が大きな額であってもそれに見合うだけの利益があれば特に問題はないし、問題があるのは利益に対して返済額が大き過ぎる場合ということになる。

いずれにしても借入金の返済原資は「利益」でしかなく、それも「税引き後利益」での返済になるため、ここに書いていることは、すべてちゃんと利益を出していることが大前提の話になる。

お店や会社の黎明期であれば資金繰りに奔走する時期もあると思うけれど、何年も経営して来たお店などが借入をする場合、それが無理のない資金繰りで適正な設備投資なら前向きで素晴らしいと思うけれど、それが運転資金だと「おや、何らかの問題でもあるのかな」とぼくは思うし、「納税のために借入をした」といった話を聞くと納税を賄い切れないほどの返済額でもあるのかな、と想像する。

「過剰な」「大きな」「適正な」という言葉から察することができるように、設備であれ配置する人員数であれ、『無駄遣いをするな』という至極当たり前のことに帰結する。

つづく

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