経営本のスゝメ 4.
ここで、超お薦めの経営本を1冊ご紹介したい。
ぼくが最初に読んだものであり、その後も繰り返し読んだ稲盛和夫さんの著書になる。
その前に。
稲盛さんがたくさん遺された著書のタイトルや設立された京セラの企業理念を見れば何となくわかると思うけれど、それらを宗教っぽいと揶揄する向きもある。
稲盛さんや京セラといえば、必ずというほど「フィロソフィー」という言葉がついてまわりその倫理観や道徳観はとても高尚で、著書でも繰り返し述べられているため、そういった印象を持たれたり敬遠される人もおられるのだと思う。
これは、わかる気もする。
正直、ぼくは松下幸之助さんの著書を読み始めたとき、同じようなことを早々に感じ挫折している。それは、社長室に毛筆の達筆な文字で座右の銘や企業理念などの書かれた立派な額が飾ってあるような会社が苦手、という感情に近い。
けれど、あれだけの信念を持たれ多くの社員を率いるとなると、やはりそこには企業理念といったものが必要になるのは、他の会社であってもきっと同様だと思う。
先述のビジョナリーカンパニーでもやはり企業理念の大切さは説かれている。
それに若いときにはキレイごとのようにしか感じれなかった倫理観や道徳観、そういった言葉なども歳を重ね経験を積むにつれ理解できるようになれば、社会で認められる会社や事業所になろうとすれば、自然とそういった思想にもなっていく。
また揶揄的な意味で「宗教っぽい」と言われるのも、ある程度の規模になればどこの会社であっても多少なりともそういった部分はある。
アップルやグーグル、アマゾン、テスラだってそういった側面はあるし、スターバックスなんかはまさにそんなイメージがある。そもそも宗教だって本来、悪いものではない。
なぜ、こんなことを書いているかといえば、そういった先入観のある人ほど読んでみてほしいと思う内容だからなんである。
また、会社やお店の大小を問わず経営に携わる人、特にこれから経営をされる若い人には是非読んでいただきたいと思う。
稲盛和夫の実学 経営と会計
技術者ではあったけれど会計の素人だった若かりし日の稲盛さんと経理部長とのやり取りの中で創り上げられた稲盛さん流の会計学と経営哲学。
何が素晴らしいって、知識としての机上の空論でなく原理原則、物事の本質を大切にされた稲盛さんらしく、実際の経験から学ばれたまさに実学と呼ぶにふさわしい内容だから、いわゆる会計本とは一線を画す説得力がある。
稲盛さんの著書なので、もちろん倫理観や道徳観といったことも述べられているけれど、それも読めば伝わるであろうその実直さによってキレイごとや上滑りする言葉としてでなくスッと入ってくるに違いない。
経営をする人にとっては、間違いなく示唆に富む名著であり必読本だと思う。
そして、読み終えたら1年後、3年後、5年後にまた改めて読み返してみてほしい。もし最初に読んだときに理解できないことがあったとしても、きっと自分の経験とともに深く理解できるようになっているはずだから。
つづく