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独立した元スタッフへの言葉と、経営のこと 11.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

借入に肯定的な意見として、こんなのがある。

「借金があるから頑張れる」

ぼくが駆け出しのころ、ご商売をされているお師匠さん世代の方たちからよく耳にしたこの言葉。その影響がゼロとまでは言わないけれど、これは単なる精神論でそこに経済的合理性はまったくない。
そもそも借金がなくても頑張る人は頑張るし、頑張らない人は借金があってもやはり頑張らない。

「借入を返済することで、銀行など金融機関からの信用が付く」

これは確かにある。
だけど、借入をしていないと金融機関から信用が付かないのかといえば必ずしもそんなことはない(借入し、返済が滞らなければ信用が付くということは、もちろんある)。
ぼくは土地や不動産といった資産を一切持っていないけれど、ちゃんと黒字を出し続け業績として実績があれば、金融機関は新規であっても協力をしてくれる。
「晴れた日に傘を貸し、雨が降れば傘を取りあげるのが銀行」なんて揶揄されるくらいだから、晴れてさえいれば(黒字、好業績)信用は付くということになる。

ぼくが「借入に必ずしも反対というわけではない」のは、前回少し触れたように元本返済部分は経費にならないけれど、「利子は経費になる」ので現状利益が出ていて利子分が節税になると捉えるのであれば、というのが一つ。

また適正な借入である場合、借入の元本返済部分は経費処理できないけれど、それが設備投資の場合には減価償却費の部分を経費処理することができるので、元本返済部分と同等分相殺されることになる。
つまり設備投資の場合は実質、経費処理ができていることになるから特に問題になるとは思わない。

元本返済部分 ≒ 減価償却費

これが「借入に必ずしも反対というわけではない」理由の二つめ。

商売をやっていると「勘定合って銭足らず」や「黒字倒産」といった一見矛盾するような言葉を見聞きすることがあるけれど、これは利益(会計上の)と現金残高(キャッシュ)が同じものでないから。

勘定(利益)合って銭(現金残高)足らず。

通常こういったことが起こるのは、売掛金の売上を計上するタイミングに時差がある場合で、売上の多くを占めるものが卸しなどの場合にこういったことが起こる可能性がある。
ぼくらのようなパン屋さんや単価の低い飲食店は基本的には日銭商売なので、この時差が原因で勘定合って銭足らずが起こるとは考え難い。
それでは日銭商売でありながら勘定合って銭足らずが起こるとすれば、どういった場合かを考えると、ぼくはこの二つだと思う。

「過剰な設備投資による減価償却の問題」と「運転資金の大きな返済がある場合」

つづく


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