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独立した元スタッフへの言葉と、経営のこと 9.

※ こちらの内容は、ウェブサイト(現在は閉鎖)にて2016年~2019年に掲載したものを再投稿しています。内容等、現在とは異なる部分があります。ご了承ください。

これほど先の読めない時代にできることは何かと考えるけれど、一つは近い未来をある程度大局的に予見することと、もう一つあるとすれば日々起きることに対しその都度適応できるだけの備えをしておくことくらいしか、ぼくには思いつかない。

この先、仮にお店や会社がいまより業績が良かったとしても収益構造の改善でもない限り、売上に比例して純利益が伸びるとはまったく思えない。
それはいま以上に厳しい状況になることを回避できないとぼくが思っているということでもある。

その理由には、まずぼくらの仕事が労働集約型であること、またそれにとって致命的とも言える労働年齢人口の減少がある。これは日本が世界最速というデータもあるらしいので喫緊の懸案はここだろうけれど、だからといって3年後や5年後に18歳の日本人が突然増えるなんてこともあり得ない。
そう考えると巷で喧伝されるAIやロボティクスといったテクノロジーに期待するか、移民を受け入れるという二択以外に会社(大きく言えば経済)を維持するのは困難だと思うけれど、個人的に期待していたテクノロジーの進化はどうも怪しい気がしてきた。
凄い勢いで進化している現実がありながらそれはまだまだ一部のものであり、自分たちの生活や職場にまで降りてきていない現実を思うと、ここに期待するには恐らくまだかなりの時間を要すると思う。

それに加えとても大きな問題として、既述してきた最低賃金や法定福利費、税金などの上昇といった外的要因がある。
これらの中には雇用する側だけでなく雇用される側の負担もあるので、お給料が現状維持であった場合、可処分所得は年々減っていくことになる(ほんと、みんなお給料明細をもっとちゃんと見た方がいいよ)。
消費税増税が延期され続け、5年後にいまと同じ8%であるなんて思っている人は皆無だろうし、可処分所得が減少していく中、消費税が上がれば買い控えや外食を控えるといったことが起きることも容易に想像がつく。

この “自分の意思ではコントロール不可能な外的要因” は、保険料や税金面だけでなく労働基準法といった法律についても同様で、今後社会のルールそのものを変更される可能性も高く、それに適応できなければいくら業界的に正しいとされることや職人として正しいとされることを守っていたとしても事業主として、社会人としては失格といった判断をされかねない側面も含んでいる。

現状維持や他人を雇用してでの個人商店規模は危険と考え、職人としては間違っているかもしれないと自覚しながらぼくが多店舗化や事業の拡大を目指した理由の一つがここにある。

つづく



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